― 大学別データ判定 ―
高崎商科大学はFランか、そうでないか。偏差値37.5で白黒つけた
河合塾偏差値・収容定員充足率・大学公式の就職データという一次情報で、噂と実態のズレを中立に検証する

この記事の目次
高崎商科大学の偏差値|まず数字を正確に置く
私は元偏差値40の大学を出て、受験指導を8年続けてきました。その立場から最初に言えるのは、噂を検証するなら感情ではなく数字から入るべきだということです。高崎商科大学の代表偏差値は37.5です(出典:河合塾Kei-Net 2027年度入試難易予想)。学部・学科別に整理すると次のようになります。
| 学部 | 学科 | 河合塾偏差値 |
|---|---|---|
| 商学部 | 経営学科 | 37.5 |
| 商学部 | 会計学科 | 37.5 |
37.5という数字は、河合塾の区分で言えばボーダーフリー(BF、合否のボーダーが偏差値では引きにくい水準)に隣接する帯です。つまり一般選抜でも、しっかり対策した受験生であれば十分に届く難易度で、実質的には全入寄りの境界の下側に位置します。他媒体では商学部を35.0から37.5のレンジで示すもの(大学受験うわさ研究所)や、独自集計で38.4とするもの(大学ランキング.com)もあり、いずれも「低い方だが、最下層と断じるには根拠が弱い」帯に収まります。
ここで急いで結論を出さないでください。偏差値だけを見ればFランの境界の下側なのは事実ですが、それは入口の難易度を示すだけで、大学の実像そのものではありません。次章の充足率、そして後半の就職データと合わせて初めて全体像が見えます。医療・看護系や資格系の大学は偏差値の数字より国家試験や就職の出口で評価すべきですが、高崎商科大学もこれに近く、会計・簿記という出口の資格教育で評価すべき学校だと私は考えています。
ここが本題|収容定員充足率121.0%が語る二面性
この記事で私が最も伝えたいのが、偏差値の次に見るべき一次データ、収容定員充足率です。高崎商科大学の充足率は121.0%です(出典:私学版大学ポートレート・日本私立学校振興共済事業団 2025年)。充足率とは、大学が国に届け出た収容定員に対して、実際に何人在籍しているかの割合です。100%で定員ちょうど、100%を割ると定員割れです。
121.0%という数字は、定員を2割超えて学生が集まっているという意味です。ここに二面性があります。
- 一面(噂の側):かつて高崎商科大学は、書籍「危ない大学・消える大学2017」で定員割れが目立つグループに分類された経緯があり、これが「やばい」「消える」という噂の出所の一つになっています。検索上位の複数記事もこの過去のラベルを引用しています。
- もう一面(現在の一次データ):しかし2025年の充足率121.0%は、その古いラベルと真逆の状態を示します。定員割れどころか定員超過であり、少なくとも直近の学生募集は成立しています。
噂は数年前のスナップショットで止まっており、現在の数字は更新されている。これが充足率という一次データを見て初めて分かる事実です。ただし公平を期すために逆側も書きます。充足率が高いのに偏差値が上がらないのは、後述する学校推薦型選抜など、偏差値に表れにくい入試区分で定員を埋めている構造があるためです。集客はできている、しかし選抜の激しさ(=偏差値)には直結していない。この二面性をそのまま受け止めるのが、噂に流されない見方だと思います。
「高崎商科大学 やばい・恥ずかしい」の噂を類型で検証
検索で出てくるネガティブな言葉を、個人の書き込みを逐語で持ち出すのではなく、噂の類型に分けて一つずつ検証します。
- 類型1:偏差値が低いから恥ずかしい ― 37.5は確かに高くありません。ただし恥という感情は他人の評価軸であり、就職や資格という出口で測れば別の絵が見えます(次章)。
- 類型2:定員割れで消えるのでは ― 過去のラベルに基づく不安ですが、2025年の充足率121.0%が示す通り現在は定員超過で、事実は更新されています。
- 類型3:単科大学で知名度が低い ― 商学部のみの単科大学であるのは事実です。全国的な知名度は限定的ですが、群馬県内、とくに地元金融・地元企業への就職では一定の認知があります。知名度の範囲を全国で測るか地域で測るかで評価は変わります。
- 類型4:誰でも入れる ― 学校推薦型選抜の倍率は1.0倍で、この区分だけを見れば「入りやすい」のは事実です。一方で一般選抜は2.0倍、総合型選抜は3.5倍(2025年度、旺文社パスナビ)で、区分によって難易度は明確に異なります。「誰でも」は推薦区分の一面を全体に広げた誇張です。
私の見立てでは、噂の多くは古いデータと、最も入りやすい入試区分だけを切り取った印象の掛け合わせです。事実の粒度を上げると、印象ほど極端ではありません。
就職・進路|13年連続で就職率97%以上、大学公式データで見る
偏差値の低さで判断を止めないために、一次データである就職実績を置きます。高崎商科大学は13年連続で就職率97%以上を達成しています(出典:高崎商科大学 公式サイト 就職実績)。就職希望者に対する直近の実績は次の通りです。
| 年度 | 区分 | 就職率 | 内訳 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 大学 | 99% | 就職者204名/就職希望者207名 |
| 2024年度 | 大学 | 98% | 就職者179名/就職希望者183名 |
| 2023年度 | 大学 | 99% | 就職者198名/就職希望者200名 |
数字を誠実に扱うために補足します。ここでの就職率は「就職希望者に対する割合」です。卒業生全体では大学院進学やその他の進路を選ぶ人も含まれるため、卒業者ベースの就職者割合は希望者ベースより下がります。大学ポートレート(私学事業団)でも、卒業後の進路は毎年9割近くが就職を希望し、令和5年度はそのうち99%が就職したと記載されています。つまり「希望した人はほぼ決まる」というのが正確な読み方です。
主な就職先は業種別に幅があります(出典:大学公式 就職実績、大学ポートレート)。
- 金融業:群馬銀行、東和銀行、高崎信用金庫、しののめ信用金庫、北群馬信用金庫 など地元金融が厚い
- 卸売・小売業:ヤマダホールディングス、ニトリホールディングス、ベイシア、カインズ、イオンリテール
- 製造業:SUBARU、太陽誘電、アイリスオーヤマ、クリナップ
- 情報通信業:大塚商会、コナミグループ、両毛システムズ、ジーシーシー
- 監査法人・会計:あずさ監査法人、EY新日本有限責任監査法人(会計学科の強みが出る領域)
- 公務:東京国税局、自衛隊、埼玉県警、前橋市役所、館林市役所
全国的な大手というより、群馬を中心とした地元優良企業と地元金融、公務員、そして会計の専門職へ着実に送り出しているのが実像です。地元就職を軸に考える人にとっては、偏差値の数字以上に価値のある出口だと私は評価します。
学べること・学部の特色|会計と簿記が実質的な看板
高崎商科大学は商学部のみの単科大学で、1学部2学科の体制です(出典:Wikipedia、大学公式)。
- 経営学科:経営コース、情報コース、観光まちづくりコース
- 会計学科:会計コース、金融コース
看板と呼べるのは会計・簿記教育です。日商簿記1級の取得を目指す「Haul-Aプロジェクト」を展開し、2024年からは「日商簿記甲子園」の運営にも実地で協力しています(出典:Wikipedia)。会計学科では簿記系の必修科目でWeb講座教材を用いるなど、資格を軸にカリキュラムが組まれています。偏差値では見えない部分ですが、簿記や会計の資格を武器に就職したい人にとっては、教育の方向性が明確な学校です。
今後の動きも押さえておきます。大学公式によると、令和10(2028)年度に商学部へ情報学科を新設する構想があり、あわせて高崎商科大学短期大学部は学生募集停止が予定されています。四年制大学側は学科新設で拡張、短大側は募集停止という再編の途中にある、という状況です。「消える」という噂とは方向が逆で、四年制側はむしろ学科を増やそうとしている点は、実態を見るうえで重要です。
加えて、資格による特待生制度があります。実用英語技能検定2級、TOEIC(L&R)500以上、日商簿記検定2級、基本情報技術者試験、実用数学技能検定2級のいずれかを高校在籍中に取得していると、初年度授業料が全額免除になる区分があります(対象は経営学科・短大の経営学科など、出典:Benesseマナビジョン、大学公式)。資格を先取りしている受験生には実利の大きい仕組みです。
入試方式と合格難易度|倍率は区分ごとに分けて見る
「入りやすい」かどうかは、入試区分を混ぜて語ると誤解します。2025年度の商学部の結果を区分別に置きます(出典:旺文社パスナビ 入試結果)。
| 区分 | 倍率 | 募集人員 | 志願者数 |
|---|---|---|---|
| 商学部 全体 | 1.7倍 | 200名 | 1,149名 |
| 一般選抜 | 2.0倍 | 105名 | 919名 |
| 共通テスト利用 | 2.0倍 | 45名 | 532名 |
| 総合型選抜 | 3.5倍 | 15名 | 45名 |
| 学校推薦型選抜 | 1.0倍 | 80名 | 185名 |
読み方のポイントは二つです。第一に、学校推薦型は1.0倍で、実質的に出願=合格に近い区分です。噂の「誰でも入れる」はこの区分を指しています。第二に、一般選抜と共通テスト利用は2.0倍、総合型は3.5倍あり、区分によっては倍率が二重三重に効きます。全体を1.7倍とだけ見ても、どの入口を使うかで体感難易度はまったく違います。
志願者数の推移も実態を語ります。2023年度804名、2024年度921名、2025年度1,149名と、直近は右肩上がりです(出典:大学受験うわさ研究所、パスナビ)。定員割れで消えると言われた大学が、志願者を増やして充足率121.0%に達している。この整合が、噂を数字で上書きする決定的な材料です。
学費・奨学金|4年で約451万円、会計学科は簿記講座費が上乗せ
学費は大学公式の2025年度以降入学者向けの数字で置きます(出典:高崎商科大学 公式サイト 学費・奨学金)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 250,000円 |
| 授業料(年額) | 363,000円 |
| 施設設備費(年額) | 150,000円 |
| 1年次納入金合計(諸会費等含む) | 1,320,700円 |
| 4年間合計 | 4,508,700円 |
私立文系としては標準的か、やや抑えめの水準です。ただし会計学科は注意点があります。簿記系必修科目で使うWeb講座教材として、簿記3・2級講座94,600円、簿記1級講座242,000円が別途必要になります(2024年12月改訂、出典:大学公式)。会計学科を選ぶなら、この教材費を初期費用に足して計算してください。裏を返せば、それだけ簿記資格をカリキュラムに組み込んでいるということでもあります。
負担軽減の制度は複数あります。前章の資格特待生(初年度授業料全額免除の区分)に加え、国の高等教育修学支援新制度の対象校であり、日本学生支援機構の給付型奨学金を使えば、入学金や授業料の減免が受けられます。大学独自でも、学校業務を補助することで月額3万円以内を給付するワーク・スタディ奨学金などがあります(出典:大学公式、大学ポートレート)。資格や世帯状況によっては、実質負担を大きく下げられる設計です。
立地・キャンパス|高崎商科大学前駅から徒歩約5分、周辺は静か
キャンパスは群馬県高崎市根小屋町741にあります(出典:Wikipedia、河合塾Kei-Net)。アクセスは上信電鉄上信線の「高崎商科大学前」駅から徒歩約4から5分で、JR高崎駅からは上信電鉄で約9分です。駅名に大学名が入っているとおり、最寄り駅は事実上この大学のための駅です。
口コミの評価もここに素直に表れています。みんなの大学情報の総合評価は3.87点/5点満点(52件)で、項目別では就職・進学3.96、講義・授業3.91と高めな一方、アクセス・立地は3.08と全項目で最も低くなっています(出典:みんなの大学情報)。周辺は自然が多く、店が少ない静かな環境で、この「田舎さ」を不便と感じるか落ち着くと感じるかで評価が割れます。車通学者が多く駐車場は完備されている一方、道が細く朝は混みやすいという声もあります。
施設面では新校舎が整備され、学生同士が交流できるホールや学食、コンビニ、ベーカリーなどがある点は好意的に語られます。古い校舎との差はあるものの、学習環境そのものへの不満は立地ほど大きくありません。都市部の刺激を求めるなら物足りず、静かに勉強と資格に集中したいなら向く、というのが立地の実像です。
高崎商科大学が向く人・合わない人
ここまでの一次データを踏まえ、私の指導経験からタイプ別に整理します。
向いている人
- 簿記・会計・情報の資格を軸に、手に職を付けて就職したい人
- 群馬県内や地元金融・地元優良企業、公務員を就職の第一志望にしている人
- 少人数で教員との距離が近い環境で、面倒を見てもらいながら学びたい人
- すでに簿記2級や英検2級などを持ち、特待生で授業料負担を下げたい人
合わない人
- 全国区の知名度やブランドを就職や周囲の評価で重視する人
- 都市部の賑やかな立地、規模の大きいサークルや学園祭を求める人
- 入学後に資格や就職支援を自分から使う気がなく、環境任せにしたい人(学生の意欲差は口コミでも指摘されています)
偏差値の数字で恥ずかしいと感じるかどうかより、この大学の出口(会計・資格・地元就職)が自分の目的と重なるかで判断するほうが、後悔が少ないと思います。
まとめ|高崎商科大学はFランか
当サイトの中立判定です。河合塾偏差値37.5という数字だけを見れば、高崎商科大学は全入に近い境界の下側に位置します。この一点でFランと呼ぶ人がいるのは理解できます。しかし、それは実像の一部にすぎません。
一次データを重ねると絵が変わります。収容定員充足率は121.0%で定員を2割超えて満たし、志願者数も2023年度から3年連続で増加しています。就職は13年連続で97%以上、会計学科は監査法人や地元金融へ、経営学科は地元企業や公務員へと着実に送り出しています。「定員割れで消える」という噂は過去のラベルであり、現在の数字はそれを上書きしています。
したがって私の結論は、「高崎商科大学がFランかどうかは、偏差値の一点では判定できない」というものです。入口の難易度は低い。しかし出口(就職・資格)と経営状態(充足率)は、Fランの典型イメージとは異なります。持ち上げも貶めもせず、あなたの目的が会計・資格・地元就職と重なるなら、偏差値の数字以上に検討する価値のある大学だと言えます。
よくある質問
高崎商科大学はFラン大学ですか?
河合塾偏差値は経営・会計とも37.5で、入口の難易度だけを見れば全入に近い境界の下側です。ただし収容定員充足率は121.0%(私学事業団2025年)で定員を2割超えて満たしており、定員割れというFランの典型像とは実態が異なります。就職率も13年連続97%以上です。偏差値の一点では判定できない、というのが当サイトの中立的な見方です。
「定員割れで消える」という噂は本当ですか?
過去に書籍で定員割れが目立つグループに分類された経緯があり、それが噂の出所の一つです。しかし直近の一次データでは、収容定員充足率121.0%と定員超過で、志願者数も2023年度804名から2025年度1,149名へ増加しています(旺文社パスナビ)。噂は数年前の状況で、現在の数字は更新されています。
就職はどのくらい決まりますか?就職先は?
就職希望者に対する就職率は13年連続で97%以上、2025年度は大学99%(204名/207名希望)です(大学公式)。主な就職先は群馬銀行・東和銀行・高崎信用金庫などの地元金融、ヤマダやベイシアなどの小売、SUBARUなどの製造、あずさ・EY新日本などの監査法人、東京国税局や市役所などの公務員です。地元就職と会計専門職に強いのが特徴です。
偏差値が低くても入る価値はありますか?
目的次第です。簿記・会計・情報の資格を軸に地元で就職したい人には、資格特待生制度や少人数の手厚いサポート、13年連続97%以上の就職実績など、偏差値では見えない価値があります。逆に全国区のブランドや都市部の環境を重視するなら、他校も比較したほうがよいでしょう。
学費はいくらかかりますか?
2025年度以降入学者で、入学金250,000円、授業料363,000円(年額)、施設設備費150,000円(年額)、1年次納入金合計は1,320,700円、4年間合計は4,508,700円です(大学公式)。会計学科は簿記講座教材費(3・2級94,600円、1級242,000円)が別途必要です。資格特待生や給付型奨学金で負担を下げられる場合があります。
入試はどの方式が入りやすいですか?
2025年度は学校推薦型選抜が1.0倍で最も入りやすく、一般選抜と共通テスト利用は2.0倍、総合型選抜は3.5倍です(旺文社パスナビ)。区分によって難易度が大きく異なるため、全体倍率1.7倍という数字だけで判断せず、自分が使う入試方式の倍率を確認することが重要です。