― 大学別データ判定 ―
聖学院大学は“やばい”のか。Fランと言われる理由をデータで検証
偏差値・収容定員充足率・公式就職率という一次データで検証する聖学院大学の実像

この記事の目次
河合塾の偏差値で見る聖学院大学 5学科中4学科がBF
聖学院大学がFランではないかと語られる最大の根拠は、河合塾の偏差値です。河合塾Kei-Net(2027年度入試向け)で聖学院大学の各学科を並べると、次のようになります。
| 学部 | 学科 | 河合塾偏差値(Kei-Net 2027) |
|---|---|---|
| 政治経済 | 政治経済 | BF |
| 人文 | 国際文化 | 35.0 |
| 人文 | 日本文化 | BF |
| 人文 | 子ども教育 | BF |
| 心理福祉 | 心理福祉 | BF |
BFとは「ボーダーフリー」の略で、合格率が50%となるボーダー偏差値帯を河合塾が設定できない状態を指します。不合格者が少なすぎて、どの偏差値帯でも合否がきれいに分かれないため、河合塾は難易度の数字を出せません。聖学院大学は5学科のうち4学科がこのBFで、数値がつくのは人文学部国際文化学科(2026年4月に欧米文化学科から名称変更)の35.0のみです。
偏差値だけで判断するなら、聖学院大学は学力による選抜がほぼ機能していない層に位置します。これは一般に真性Fランと呼ばれる帯です。ただし偏差値は入り口の難しさを測る一つの物差しにすぎません。私は受験指導の現場で、偏差値の数字だけを見て大学の価値を決める判断が、しばしば実態とずれることを見てきました。
ネット上の大学ランキング系サイトでは、聖学院大学の偏差値を37.5や37.6と紹介するものもあります。これは複数の予備校や年度の数値を平均したり、BFに便宜的な数値を当てはめたりしているためで、河合塾の最新データそのものではありません。当サイトは出典を河合塾Kei-Netの学科別数値に統一し、BFはBFのまま扱います。数字を盛らないことが、進路判断の出発点だと考えるからです。次章では、偏差値とは別の一次データである収容定員充足率を重ねて、聖学院大学の立ち位置をもう一枚の地図で確認します。
本題は充足率78.5% 偏差値と定員のねじれをどう読むか
ここが本記事の中心です。偏差値がBFでも、その大学が受験生からまったく選ばれていないとは限りません。それを測るのが収容定員充足率です。これは、大学が定めた収容定員(全学年の在籍上限)に対して、実際に何割の学生が在籍しているかを示す割合で、私立学校の経営体力と人気をあらわす一次データです。
私学版大学ポートレート(日本私立学校振興・共済事業団)の2025年データで、聖学院大学の収容定員充足率は78.5%です。100%を下回っているため定員割れではありますが、注目すべきはその水準です。ここに聖学院大学の二面性があります。
- 偏差値の面: 4学科がBFで、学力による選抜はほぼ働いていない。入り口の難しさで見ればFランの典型。
- 充足率の面: 定員の約8割は毎年埋まっている。私立大経営で危険水域とされる50%台や、いわゆる消える大学と呼ばれる帯からは距離があり、まだ選ばれ、まだ回っている大学。
つまり聖学院大学は、誰でも入れることと、一定数の学生に選ばれ続けていることが同居しています。偏差値の低さだけを見て切り捨てると、この定員の8割が埋まっているという事実を見落とします。逆に、面倒見の良さや資格支援という長所だけを見ると、学力選抜が機能していないという入り口の現実を見落とします。両方を並べて初めて、実像が立ち上がります。
この二軸を踏まえ、当サイトの中立判定はA(実質全入)です。学科単位では4学科がBF(河合塾が難易度を出せない最下層、当サイトの区分ではS帯の真性Fラン)に沈みますが、充足率78.5%という需要の裏づけを加味すると、総合では偏差値35前後で誰でも受かるに近いA帯(純Fラン帯)に置くのが妥当だと判断しました。これは特定の予備校や匿名掲示板の格付けではなく、河合塾の偏差値と私学事業団の充足率という二つの一次データから当サイトが独自に下す中立判定です。
やばい、恥ずかしいという噂を類型で検証する
聖学院大学と一緒に検索される言葉には、やばい、恥ずかしい、就職できない、といったものがあります。私はこうした噂を個別の書き込みとして拡散するつもりはないので、寄せられがちな不安を四つの類型に整理し、事実で答えます。
類型1 偏差値が低くて恥ずかしい。 BFという事実は動きません。ただし恥ずかしいかどうかは主観であり、進路判断の材料にはなりません。学歴フィルターを設ける一部の大手企業でエントリー時点の不利が生じ得るのは事実ですが、それは後述する就職支援と資格の使い方で相当程度カバーできます。
類型2 誰でも入れる。 偏差値の面ではほぼその通りです。一方で充足率78.5%が示すのは、入れるけれど実際に一定数が入学し在籍しているという事実です。誰でも入れることと、誰も行かないことは違います。
類型3 就職できない。 これは公式データで明確に否定できます。詳細は次章で扱いますが、2026年3月卒業生の就職率は全体で98.5%です。
類型4 キャンパスが地味、アクセスが不便。 立地に関する声は一定数あります。これは好みと通学条件の問題で、Fランかどうかとは別の論点です。立地の章で扱います。
噂の多くは、偏差値の低さという一点を、大学生活や就職の全体評価にそのまま横滑りさせたものです。事実を項目ごとに分けると、当たっている部分(入り口の易しさ)と、事実と異なる部分(就職できない)がはっきり分かれます。
就職と進路 公式データが示す実際の数字
聖学院大学の就職は、噂とデータの差がもっとも大きい項目です。聖学院大学公式の進路実績によると、2026年3月卒業生の就職率は次の通りです。
| 学科 | 就職率(2026年3月卒) |
|---|---|
| 全体 | 98.5% |
| 政治経済 | 97.7% |
| 国際文化 | 96.5% |
| 日本文化 | 100.0% |
| 子ども教育 | 97.2% |
| 心理福祉 | 96.6% |
全体で98.5%、日本文化学科は100.0%です。この就職率は一般に就職希望者数を分母とした割合であり、卒業者全体に占める就職者の割合(実就職率)とは定義が異なる点には注意が必要です。それでも、就職できないという噂が公式の数字と大きく食い違っていることは明らかです。
主な就職先には、ベルク、ヤマダデンキ、サカイ引越センター、山崎製パン、ファーストリテイリングなど東証プライム上場企業が並びます(聖学院大学公式進路実績)。公務員では鴻巣市役所、甲府市役所、埼玉県警察などへの就職があり、教員の正規採用は埼玉県、東京都、千葉県、さいたま市の教育委員会などで計9名です。小学校教員採用試験では2年連続で合格率100%(2025年度、スタディサプリ進路)という実績も公表されています。
規模の大きい大学に比べれば、超大手や難関業種の比率が高いわけではありません。しかし、地元企業や小売、サービス、福祉、教育といった分野で堅実に就職を決めているのが実態です。就職率という一次データで見る限り、聖学院大学は就職できない大学ではありません。むしろ、就職支援と資格を使い倒せる学生にとっては、偏差値の数字以上の出口が用意されています。
学べることと学部の特色 資格に強い面倒見型
聖学院大学は埼玉県上尾市にある私立大学で、3学部5学科で構成されています。
- 政治経済学部 政治経済学科 政治、経済、経営を横断的に学ぶ。2027年度から経済経営、公共政策、国際キャリアの3コース制に再編される予定(スタディサプリ進路)。
- 人文学部 国際文化学科 2026年4月に欧米文化学科から名称変更。語学と異文化理解を軸に国際人を育成。
- 人文学部 日本文化学科 日本文学、日本語、歴史、思想を学ぶ。古典文学に力を入れている。
- 人文学部 子ども教育学科 幼稚園教諭、小学校教諭、保育士の養成に強い。
- 心理福祉学部 心理福祉学科 社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の養成に対応。
特色は、資格取得の手厚さと少人数の面倒見です。取得可能な資格は受験資格を含めて18種類あり(スタディサプリ進路)、教職支援センターや福祉実習室、子ども教育学科実習指導室といった専門施設で個別指導を行っています。全学科共通の聖学院AI・データサイエンスプログラムも新設され、基礎的なデータリテラシーを学べる体制になっています。キリスト教精神に基づく人間教育を掲げ、一人ひとりに担当がつくキャリア支援がこの大学の売りです。
裏を返せば、大人数の中で自走したい人や、放任で自由にやりたい人には手厚さが過剰に感じられることもあります。学びの環境は、面倒見を長所と取るか、過干渉と取るかで評価が分かれます。
入試方式と合格難易度 多様な入り口
聖学院大学は入試方式が多彩です。一般選抜(A日程、B日程など)、大学入学共通テスト利用選抜に加え、総合型選抜、学校推薦型選抜、スポーツ推薦、キリスト教主義大学らしいクリスチャン推薦などがあります。共通テスト利用の得点率の目安は44%から50%程度とされ(河合塾Kei-Netおよび競合塾サイト)、一般選抜の出題も基礎的な水準です。
合格難易度は、偏差値がBF中心であることからわかる通り、標準的な高校の学習内容をおさえていれば十分に射程に入ります。近年は一部の日程で倍率がつき、BFが外れたという受験生の声も見られますが、河合塾の最新表記はBFのままで、全体としては誰でも受かるに近い水準です。
注意したいのは、入りやすさと入学後の学びは別だという点です。入試が易しいことは、入学後にラクができることを意味しません。資格や教員採用を目指すなら、入学後の学習量が結果を左右します。入り口の易しさを、そのまま4年間の易しさと勘違いしないことが大切です。
学費と奨学金 初年度は約148万円から
聖学院大学の初年度納入金は、学科によって約148万円から約153万円です(河合塾Kei-Netおよび聖学院大学公式、2025から2026年度)。
| 学部(学科) | 初年度納入金合計(目安) |
|---|---|
| 政治経済(政治経済) | 約147.9万円 |
| 人文(国際文化) | 約147.9万円 |
| 人文(日本文化) | 約148.1万円 |
| 人文(子ども教育) | 約152.9万円 |
| 心理福祉(心理福祉) | 約152.9万円 |
入学金は28万円、後援会費や学友会費などの諸会費が約8.4万円で、実習を伴う心理福祉学科と子ども教育学科がやや高めです。一般的な文系私立大学の水準に収まっており、Fランだから特別に高い、あるいは安いということはありません。ただし教職課程や実習科目を履修する場合は、別途実習費用がかかります。なお2025年4月から光熱費高騰を理由に施設費が改定されています(聖学院大学公式)。
奨学金は独自制度が複数あります。ルーラ・ロング・コームズ記念奨学金は年間授業料の30%を減免、聖学院大学特待生奨学金は各学科の成績上位5%に授業料の50%を減免します(Benesseマナビジョン)。加えて日本学生支援機構の給付型、貸与型も利用できます。学費を投資と考えるなら、減免制度と資格取得支援をどれだけ使い倒せるかで、回収率は大きく変わります。
立地とキャンパス 上尾のワンキャンパス
キャンパスは埼玉県上尾市戸崎1-1にあり、全学部が一つのキャンパスに集まるワンキャンパス制です。都心から離れているため、アクセスが不便という声は競合サイトでも共通して見られます。最寄り駅からはバスや徒歩でのアクセスが案内されることが多く、通学の負担は住む場所によって変わります。
一方で、ワンキャンパスは学年や学部をまたいだ移動が少なく、施設が一か所にまとまっている利点があります。学生数がそれほど多くないため、混雑が苦手な人には過ごしやすい環境という口コミもあります(みんなの大学情報)。キャンパスが地味という評価は、裏返せば落ち着いた環境ということでもあります。立地は好みと通学条件の問題で、大学の学力評価とは切り離して考えるのが妥当です。
聖学院大学が向く人、合わない人
ここまでの一次データを踏まえ、聖学院大学が向く人と合わない人を整理します。
向いている人
- 保育士、幼稚園、小学校教諭、社会福祉士、精神保健福祉士など、資格を取って手に職をつけたい人。
- 大人数より少人数で、手厚く面倒を見てもらいたい人。
- 埼玉や近県で地元就職を考えている人。
- キリスト教精神に基づく人間教育に共感できる人。
合わない人
- 学歴のブランドや、学歴フィルターの通過そのものを最優先する人。
- 難関資格や大手企業を、大学の支援に頼らず自力で突破できる自走型の人。
- 大規模大学ならではの人脈や刺激、幅広い選択肢を求める人。
聖学院大学は、偏差値というブランドを買う大学ではなく、資格と就職支援という仕組みを使い倒す大学です。この仕組みを能動的に使える人にとっては、充足率78.5%が示す通り、選ぶ価値のある選択肢になります。逆に、入っただけで評価が上がることを期待する人には、期待外れになります。
まとめ 聖学院大学はFランか
結論を繰り返します。河合塾の偏差値では5学科中4学科がBFで、入り口の難しさだけを見れば真性Fランの帯です。しかし私学事業団の収容定員充足率は78.5%で、定員の約8割は毎年埋まっています。この二つの一次データから、当サイトは聖学院大学をA(実質全入、誰でも受かるに近いが、まだ選ばれ、まだ回っている)と中立判定します。
就職率は公式で全体98.5%(2026年3月卒)、取得可能な資格は18種類、少人数の面倒見が売りです。Fランという一語で切り捨てると、この出口の実態を見誤ります。逆に長所だけを見ると、学力選抜が働いていない入り口の現実を見落とします。聖学院大学の価値は、資格と就職支援という仕組みを自分で使い倒せるかどうかにかかっています。偏差値の数字ではなく、その仕組みを使う覚悟があるかで判断してください。
よくある質問
聖学院大学はFランですか?
河合塾の偏差値では5学科中4学科がBF(ボーダーフリー)で、入り口の難易度だけで見ればFランの帯です。ただし私学事業団の収容定員充足率は78.5%で定員の約8割は埋まっており、当サイトはA(実質全入)と中立判定しています。偏差値と充足率の両面で見る必要があります。
聖学院大学の偏差値はいくつですか?
河合塾Kei-Net(2027年度向け)では、人文学部国際文化学科が35.0、そのほかの政治経済、日本文化、子ども教育、心理福祉の4学科はBFです。他サイトの37.5や37.6は複数年度や予備校の平均値で、河合塾の最新の学科別数値とは異なります。
聖学院大学の就職率は?
聖学院大学公式の進路実績によると、2026年3月卒業生の就職率は全体で98.5%です。学科別では日本文化学科が100.0%、政治経済学科97.7%などで、就職できないという噂は公式データと食い違います。就職率は就職希望者を分母とした割合である点には留意してください。
聖学院大学の学費はいくらですか?
初年度納入金は学科により約148万円から約153万円です(河合塾Kei-Net、聖学院大学公式、2025から2026年度)。入学金28万円を含み、実習のある心理福祉学科と子ども教育学科がやや高めです。授業料30%または50%減免の独自奨学金も用意されています。
聖学院大学は誰でも入れますか?
偏差値の面ではほぼ誰でも入れる水準です。ただし充足率78.5%が示す通り、実際に一定数の学生が入学し在籍しています。入れることと選ばれていないことは別で、聖学院大学は前者に当てはまります。
やばい、恥ずかしいという評判は本当ですか?
やばい、恥ずかしいという評価の多くは偏差値の低さを根拠にした主観です。就職率98.5%や資格支援の手厚さといった事実を項目ごとに見ると、当たっている部分(入り口の易しさ)と、事実と異なる部分(就職できない)が分かれます。一語のイメージで判断しないことが大切です。