― 大学別データ判定 ―
【偏差値が出ない】聖カタリナ大学は本当にFランなのか、データで判定
愛媛・松山の私立大を一次データで解剖。偏差値BFの意味、就職96.2%の実像、恥ずかしいという噂の正体まで

この記事の目次
河合塾の偏差値は全学科BF。まず一次データを確認する
私(森田)はまず、感想ではなく予備校が公表している一次データから見る。河合塾Kei-Net(2027年度入試)によると、聖カタリナ大学のボーダー偏差値は全学部・全学科でBFだ。BFはボーダーフリーの略で、河合塾が合格可能性50%となる偏差値ラインを算出できない状態、つまり入試難易度の下限に位置することを示す。一般選抜のボーダーは偏差値35.0(BF除く)、共通テスト得点率はおおむね42〜50%の水準となっている。
| 学部 | 学科 | 河合塾ボーダー偏差値 | 共テ得点率(目安) |
|---|---|---|---|
| 健康社会学部 | 現代人間学科 | BF | 約42% |
| 健康社会学部 | 健康スポーツ学科 | BF | 約42〜43% |
| 看護学部 | 看護学科 | BF | 約50% |
BFの読み方を誤解しないでほしい。私が8年の受験指導で見てきた限り、BFは「学力試験で受験生を落とすことをほぼ想定していない」水準を指す。一方でBFイコール無価値ではない。とくに看護学科は共通テスト得点率の目安が50%と他学科より高く、国家試験合格や実習を前提とするため、面接や基礎学力での実質的な選抜が働いている。偏差値という一枚の物差しだけで学科ごとの中身の差を消してしまうのは、判断を誤るもとだ。
数値の裏取りとして、旺文社パスナビ、スタディサプリ進路、みんなの大学情報も確認したが、いずれも河合塾提供のデータでBF〜35.0と同傾向だった。出所が同じ河合塾なので、どのサイトを見ても評価がぶれないのは当然と言える。
当サイトは偏差値の一点だけで大学を断罪しないために、独自の中立判定を使う。S判定は全学科BFで河合塾が難易度を出せない最下層、いわば真性Fラン帯。A判定は偏差値35前後で実質全入に近い純Fラン帯だ。聖カタリナ大学は全学科BFのため、入試難易度としてはS判定に当たる。ただしこれはあくまで入口の難易度の話であり、入学後の教育価値や就職とは切り分けて、この先で検証していく。
(出典:河合塾Kei-Net大学検索システム 聖カタリナ大学 偏差値ボーダーライン)
ここが本題。収容定員充足率75.7%が示す二つの顔
偏差値がBFであることは、多くの競合記事も書いている。だが当サイトが最も重視するのは、ほとんどの記事が触れていない一次データ、収容定員充足率だ。私学版大学ポートレート(日本私立学校振興・共済事業団)2025年公表値によると、聖カタリナ大学の収容定員充足率は75.7%。定員100人に対して在籍が約76人、つまり定員の約4分の1が空席という、いわゆる定員割れの状態にある。この一つの数字に、正反対の二つの顔が同居している。
一つ目の顔は、受験生から見た入りやすさ。定員割れと偏差値BFが重なるということは、志願すれば合格に届きやすいことを意味する。募集人数に対して受験者が埋まっていないため、学力試験で振り落とされる圧力が構造的に低い。浪人や不合格のリスクを避けたい人にとっては、この充足率75.7%は「入りやすさの裏付け」として素直に読める。
二つ目の顔は、進学先としての持続性とブランド。定員を大きく割り込む状態は、志願者を集めきれていないこと、ひいては知名度や投資余力の弱含みを映す指標にもなり得る。ここだけを取り上げれば「危ない」と煽ることもできる。しかし後述するように、就職率は大学全体で96%台、看護学科は100%を維持しており、少なくとも入学後の出口の数字は崩れていない。
- 面1(入りやすさ):充足率75.7%+偏差値BF=実質全入に近く、受験リスクが低い
- 面2(持続性):定員割れは知名度・規模の弱さの表れだが、看護など資格系は堅調で出口は担保
- 中立の結論:充足率だけで断ずるのではなく、次章以降の就職・資格実績と組み合わせて実利を測るべき
Fランか否かの二元論は、この二面性を平らに潰してしまう。当サイトが充足率をあえて背骨に置くのは、入りやすさ(入口)と教育の中身(出口)を別々の数字で見比べられるようにするためだ。(出典:私学版大学ポートレート 日本私立学校振興・共済事業団 2025)
「やばい」「恥ずかしい」という声の正体を類型で検証する
検索すると「やばい」「恥ずかしい」という言葉が並ぶが、私は個々の書き込みを逐語で持ち出すつもりはない。匿名の断片を並べても不安を煽るだけで、事実確認にはならないからだ。代わりに、寄せられる懸念を四つの類型に整理し、それぞれ一次データで答える。
類型1:偏差値が出ない(BF)から頭が悪いと見られるのが恥ずかしい。これは学歴フィルターへの不安だ。事実として河合塾はBFと公表しており、入試難易度が下限にあるのは動かせない。ただし採用や周囲の評価は、大学名だけでなく取得資格や実習経験でも決まる。看護師や社会福祉士など国家資格系は、資格そのものが評価軸になるため、偏差値の低さを資格と実績で相殺しやすい。
類型2:定員割れで経営が心配。充足率75.7%という数字は前章の通り事実で、規模の弱さは否定しない。一方で高等教育の修学支援新制度の対象校として認定を受けており、公的な確認を通っている点は、いたずらに不安を持つ必要がない材料だ。
類型3:地方の小規模大学で知名度が低い。これは事実に近い。全国区の知名度は高くない。ただし愛媛県内、とくに松山圏の医療・福祉・保育の現場では卒業生が定着しており、地元就職を前提にするなら知名度の低さは実務上の不利になりにくい。
類型4:キリスト教系で少人数、校風が地味。これは価値観の合う合わないの問題で、良し悪しではない。少人数で面倒見を求める人には長所、賑やかな大規模大学を求める人には短所になる。恥ずかしいかどうかは他人の物差しではなく、この後の向き不向きの章で自分の基準に照らして判断してほしい。
要するに「やばい」の中身は、入試難易度の低さと規模の小ささという二点にほぼ集約される。そこは数字で認めたうえで、出口の実績を次章で確認する。
就職・進路は大学公式データで読む。2024年度の大学就職率96.2%
就職は噂ではなく大学公式の進路データを主軸にする。聖カタリナ大学が公表した卒業生就職状況(2025年5月1日現在)によると、2024年度卒業生の最終就職率は次の通りだ。
| 区分 | 就職率 | 就職希望者 | 内定者 |
|---|---|---|---|
| 聖カタリナ大学 | 96.2% | 184名 | 177名 |
| 短期大学部 | 97.9% | 47名 | 46名 |
学科別に見ると、看護学科は就職率100.0%、健康スポーツ学科96.1%、保育学科97.9%、社会福祉学科93.9%、人間社会学科92.3%(社会福祉・人間社会は改組前の人間健康福祉学部の学科)。近年は大学全体で95〜99%台を維持しており、偏差値BFという入口の数字と、この出口の数字はまるで別物であることが分かる。
主な就職先も大学公式および進学情報各社の集計から確認できる。看護学科では松山赤十字病院、愛媛県立病院、愛媛大学医学部附属病院、松山市民病院、四国がんセンターなど地域の中核病院が並ぶ。福祉・社会系は愛媛県庁や市役所(保健師)、地域の福祉施設、一般企業では伊予銀行、愛媛銀行、フジ、レデイ薬局など、愛媛を中心とした地元有力先が中心だ。全国区の大企業がずらりと並ぶタイプではないが、地元就職を志すなら実務的で堅い進路と言える。
就職支援の体制について大学は、支援の早期化と、少人数で顔の見える家族的な校風を挙げ、アドバイザー教員と就職課が個別支援を行うとしている。学生数が少ないことが、就職支援では一人あたりの手厚さという長所に反転している構図だ。(出典:聖カタリナ大学 卒業生就職状況/スタディサプリ進路/キャリタス進学)
学べること。健康社会学部と看護学部、短大保育の三本柱
聖カタリナ大学の現在の募集は、健康社会学部と看護学部の二学部、これに短期大学部の保育学科を加えた構成だ。それぞれ学びの方向がはっきり分かれている。
- 健康社会学部 現代人間学科:心理、社会、データといった視点から人間と社会を理解する学科。公認心理師や社会調査に関わる学びを含み、対人支援やビジネスの現場で活きる基礎を扱う。
- 健康社会学部 健康スポーツ学科:スポーツと健康づくりを軸に、指導者や健康支援の担い手を育てる。保健体育の教員や地域スポーツ、健康産業を見据えた実技と理論の両輪。
- 看護学部 看護学科:看護師国家試験合格と病院就職を明確なゴールに据えた学科。開設から10年を数え、実習病院との結びつきが強く、就職率100%を支える実務直結型のカリキュラムが特色。
- 短期大学部 保育学科:2年間で保育士・幼稚園教諭を目指す。地域の保育現場への就職に強い。
大学院には看護学研究科もあり、資格取得後にさらに専門性を深める道も用意されている。全体として、心理・福祉・スポーツ・看護・保育という対人支援分野に特化しているのが聖カタリナ大学の学びの輪郭だ。偏差値で語られがちな大学だが、学びの中身は資格や実習に直結した実学寄りで、その点は就職の数字とも整合している。
入試方式と合格難易度。総合型・推薦が主流
入試方式は、総合型選抜、学校推薦型選抜(専願推薦・一般推薦・スポーツ推薦)、一般選抜(A日程・BC日程)、共通テスト利用・共通テストプラスまで幅広い。健康社会学部系では、総合型選抜は小論文・面接・調査書、推薦系は小論文・面接・調査票で合否を判定する方式が中心で、学力一発勝負ではなく、書類と面接で人物を見るタイプの選抜が主流だ。
合格難易度は、前章までの通り河合塾ボーダーがBFで、収容定員充足率も75.7%と定員に余裕がある。したがって、総合型や推薦で出願要件を満たし、小論文と面接に真面目に取り組めば、合格可能性は高いと考えてよい。ただし看護学科だけは共通テスト得点率の目安が50%と他学科より高く、資格系という性質上、基礎学力と面接での適性が相対的に問われる。同じ大学でも、狙う学科によって必要な準備が変わる点は押さえておきたい。
私の指導経験から一言添えると、BFだからと無勉強で臨むのは推奨しない。とくに小論文は、書き慣れていないと面接評価に響く。難易度が低い入試ほど、準備した人としない人の差がそのまま面接官に伝わる。(出典:マナビジョン Benesse 聖カタリナ大学 入試情報)
学費と奨学金。初年度は文系118万円・看護174.5万円
学費は学科で差がある。聖カタリナ大学入試情報サイトの2027年度入学生向けデータでは、初年度納入金は次の通りだ。
| 学科 | 入学金 | 授業料 | 施設設備費 | 教育充実費 | 初年度計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 現代人間・健康スポーツ | 20.0万円 | 70.0万円 | 10.0万円 | 18.0万円 | 118.0万円 |
| 看護学科 | 20.0万円 | 100.0万円 | 24.5万円 | 30.0万円 | 174.5万円 |
文系の健康社会学部系は初年度118万円で、私立大学としては標準的か、やや抑えめの水準。看護学科は実習や設備の関係で初年度174.5万円と高くなるが、これは看護系大学ではおおむね一般的な範囲だ。
奨学金は選択肢が厚い。聖カタリナ大学は高等教育の修学支援新制度(授業料・入学金の減免と給付型奨学金)の対象校として認定を受けている。加えて大学独自の奨学生・特待生制度、日本学生支援機構の給付・貸与奨学金、そして看護学科向けには病院奨学金制度がある。病院奨学金は、卒業後に一定期間その病院で看護師として勤務すれば返還が免除される仕組みで、実質的に学費負担を大きく下げられる。給付奨学金の採用候補者には入学金・学納金の納入を猶予する制度もあり、家計に不安がある人ほど、これらを組み合わせて実質負担を計算する価値がある。(出典:聖カタリナ大学 入試情報サイト 学費/聖カタリナ大学 奨学金)
立地とキャンパス。松山市北条と市駅前の二拠点
聖カタリナ大学は愛媛県松山市にあり、キャンパスは二つ。本部は松山市北条(松山市北条660、最寄りは伊予北条駅)、もう一つが松山市駅前キャンパスだ。看護や福祉、心理、スポーツといった対人支援の学びを、市街地と郊外の二拠点で展開している。附属図書館や1200名収容の聖カタリナホールなど、規模のわりに施設は整っている。
立地の評価は目的で分かれる。地元の松山圏で学び、地域の病院・施設・企業に就職したい人にとっては、実習先や就職先との距離が近く合理的だ。一方で、大規模大学のような賑やかなサークル文化や、有名アーティストを呼ぶ大型学園祭を期待すると、少人数ゆえの物足りなさを感じる場面もある。北条キャンパスは自宅から通学に時間がかかる学生も一定数いるため、通学時間は事前に確認しておきたい。要は、地元密着で腰を据えて資格を取る場としては噛み合い、都会的な大学生活を求めるなら別の選択肢が合う、という立地だ。(出典:聖カタリナ大学 公式サイト/みんなの大学情報)
向く人・合わない人
ここまでの一次データを踏まえ、聖カタリナ大学が噛み合う人とそうでない人を整理する。偏差値ではなく、目的で合否を分けて考えるための章だ。
向く人
- 看護師、社会福祉士、保育士、保健体育教員など、資格や免許を取って地元で働きたい人。出口の就職率がそれを裏付ける
- 愛媛・松山圏での就職を前提にしている人。地域の病院や自治体、有力企業に卒業生が定着している
- 大人数が苦手で、少人数で面倒見のよい環境を求める人。就職支援の手厚さは学生数の少なさの裏返し
- 浪人リスクを避け、総合型や推薦で確実に進学を決めたい人
合わない人
- 大学名の偏差値やブランドを、就職や周囲の評価の主軸に置きたい人。入口の数字はS判定帯で覆せない
- 全国区の大企業就職や、都市部での就職を強く志向する人
- 大規模大学の賑やかなサークル・イベント文化を大学生活の中心に据えたい人
判断の順番はこうだ。まず取りたい資格や働きたい地域が明確なら、聖カタリナ大学は充分に選択肢になる。逆に、まだ目的が定まっておらず学歴の高さ自体を求めるなら、S判定という入口の事実を直視したうえで、他大学と併せて検討したほうがいい。
まとめ。聖カタリナ大学はFランか
入試難易度だけを問うなら、答えははっきりしている。河合塾が全学科をBFとしており、当サイトの中立基準では最下層のS判定に当たる。ここは数字の通りで、ごまかす必要はない。収容定員充足率75.7%という定員割れも、入りやすさと規模の弱さを同時に示す事実だ。
だが「Fランか否か」の一言で片づけると、看護学科の就職率100%、大学全体96.2%という出口の数字や、資格直結の実学、地元就職の強さ、厚い奨学金といった中身が全部消えてしまう。入口の難易度と出口の実利は別の物差しだ。聖カタリナ大学は、入口はS判定でも、資格を取って愛媛で働くという目的に対しては機能する大学、というのが一次データから導ける中立の結論だ。ブランドで選ぶなら向かないが、目的で選ぶなら選択肢になる。最後は自分の目的に照らし、最新の公式資料で判断してほしい。
よくある質問
聖カタリナ大学はFランですか。
入試難易度で言えば、河合塾Kei-Net(2027年度入試)が全学部・全学科をBF(ボーダーフリー)としており、当サイトの中立基準では最下層のS判定に当たります。ただしこれは入口の難易度の話で、看護学科の就職率100%など出口の実績とは別物です。資格取得や地元就職という目的に対しては機能する大学です。
収容定員充足率75.7%とは何を意味しますか。
私学版大学ポートレート(私学事業団)2025のデータで、定員100人に対し在籍が約76人、つまり定員の約4分の1が空席の定員割れ状態を示します。受験生から見れば入りやすさの裏付けであり、同時に大学の規模や知名度の弱さも映す数字です。入りやすさと持続性という二面で読むのが妥当です。
聖カタリナ大学の就職率はどれくらいですか。
大学公式の卒業生就職状況(2025年5月1日現在)によると、2024年度卒業生の最終就職率は大学全体で96.2%、短期大学部で97.9%です。学科別では看護学科が100.0%。主な就職先は松山赤十字病院など地域の中核病院や、愛媛県庁、伊予銀行、フジなど地元有力先が中心です。
学費はいくらかかりますか。
入試情報サイトの2027年度データでは、健康社会学部(現代人間・健康スポーツ)の初年度納入金が計118.0万円、看護学科が計174.5万円です。高等教育の修学支援新制度の対象校で、大学独自の特待生制度や、看護学科向けの病院奨学金(勤務で返還免除)などを組み合わせれば実質負担を下げられます。
やばい・恥ずかしいという評判は本当ですか。
声の中身は、入試難易度の低さ(BF)と規模の小ささ(定員割れ)という二点にほぼ集約されます。そこは事実として認めるべきですが、就職率や資格実績など出口の数字は崩れていません。恥ずかしいかどうかは他人の物差しではなく、取りたい資格や働きたい地域という自分の目的に照らして判断するのが妥当です。