― 大学別データ判定 ―
埼玉県立大学は“やばい”のか。Fランと言われる理由をデータで検証
河合塾偏差値・収容定員充足率・国家試験・就職の一次データで、噂ではなく実像から結論する当サイト独自の中立判定

この記事の目次
- 河合塾の学部別偏差値は45.0〜50.0(出典:河合塾Kei-Net)
- ここが本題:収容定員充足率102.6%が示す二つの顔
- 「埼玉県立大学はやばい・恥ずかしい」と言われる理由を類型で検証
- 就職・進路:学科別就職率91〜99%、県内医療機関に強い(大学公式)
- 学べること:保健医療福祉の13資格と専門職連携教育(IPW)
- 入試方式と合格難易度:共通テスト54〜67%が現実的なライン
- 学費・奨学金:4年総額は県内で約270万円(公立の低コスト)
- 立地・キャンパス:せんげん台駅から徒歩20分、グッドデザイン金賞の広大な敷地
- 埼玉県立大学が向く人・合わない人
- まとめ:埼玉県立大学はFランか
- よくある質問
- 参考・出典
河合塾の学部別偏差値は45.0〜50.0(出典:河合塾Kei-Net)
私は受験指導を8年続けていますが、大学を「Fランかどうか」で語るときにいちばん危ういのが、一つの数字だけを見て決めつけることです。まず埼玉県立大学の偏差値を、いちばん厳しめに出る河合塾のボーダー偏差値(学部学科ランク)で並べます。
| 学科・専攻 | 河合塾ボーダー偏差値 | 共通テスト得点率 |
|---|---|---|
| 看護学科 | 50.0 | 65% |
| 理学療法学科 | 50.0 | 67% |
| 作業療法学科 | 45.0 | 56% |
| 社会福祉子ども学科 社会福祉学専攻 | 47.5 | 59% |
| 社会福祉子ども学科 福祉子ども学専攻 | 45.0 | 62% |
| 健康開発学科 健康情報学専攻 | 45.0 | 54% |
| 健康開発学科 検査技術科学専攻 | 50.0 | 63% |
| 健康開発学科 口腔保健科学専攻 | 45.0 | 58% |
学部全体の偏差値レンジは45.0〜50.0、代表値はおよそ47.5です。ここで押さえておきたいのは、Fランの一般的な定義が「河合塾で偏差値がつかない(BF=ボーダーフリー)」または「偏差値37.5未満で、選ばなければ誰でも入れる状態」だという点です。埼玉県立大学はどの学科も45以上で数値が付いており、この時点でFランの条件を満たしていません。
なお、進研模試(ベネッセ)や東進の偏差値表では、母集団の違いから同じ大学が53〜59といった高めの数字で出ることがあります。予備校によって数字がぶれるのは正常で、私は最も辛口に出る河合塾を基準に置いています。その河合塾ですら45を下回らない、というのが事実の確認です。そして医療・看護・リハビリ・検査といった資格系の学部は、偏差値の数字そのものより、後述する国家試験合格率と就職という「出口」で評価するのが実態に合っています。
ここが本題:収容定員充足率102.6%が示す二つの顔
偏差値だけを見て終わる記事は世の中に山ほどあります。私がこの記事でいちばん見てほしいのは、収容定員充足率という別の一次データです。これは「定員に対して実際に何人在籍しているか」を示す数字で、Fランかどうかを見抜くうえで偏差値より正直な指標になることがあります。
埼玉県立大学の公式データ(2025 FACTBOOK)によると、学部の収容定員は1,590人(2025年度・3年次編入定員の見直しで前年1,620人から微減)、在学生数は1,632人です。つまり充足率は約102.6%。当サイトが公式の定員と在籍数から独自に算出した中立指標ですが、ここに二つの顔があります。
- 一つ目の顔(Fラン否定の決め手):定員割れがまったく起きていません。むしろ100%を超えて満員です。Fラン大学の典型は、志願者が集まらず定員割れが常態化し、選抜が機能しなくなった状態です。埼玉県立大学は1999年の開学以来、在学生が1,600人台で安定推移しており、需要が枯れていない。これは「入りたい人がきちんと集まって選抜が成立している」という、Fランとは正反対の状態です。
- 二つ目の顔(過大評価も戒める視点):ただし充足率が高いこと自体は、大学の「格」や「難しさ」を直接は保証しません。看護師・理学療法士といった国家資格に直結する公立の医療系大学は、学費が安く資格需要も底堅いため、そもそも定員が埋まりやすい構造にあります。だから充足率は「定員割れしていない=Fランの典型条件に当てはまらない」という床(フロア)の確認であって、天井(ブランド力)の証明ではない。充足率で床を、偏差値45〜50で位置を、国家試験と就職で出口を、と三点セットで読むのが正しい使い方です。
まとめると、充足率102.6%は「この大学は定員割れのFランではない」を数字で裏づける一方、「だから難関」と過大評価する材料でもない。持ち上げすぎず貶めすぎず、埼玉県立大学は保健医療福祉に特化した、需要の安定した中位の公立専門大学だ、というのが充足率から読める実像です。
「埼玉県立大学はやばい・恥ずかしい」と言われる理由を類型で検証
検索すると「やばい」「恥ずかしい」といったサジェストが並びます。私は個別の匿名書き込みを逐一取り上げるつもりはありません。ネガティブな噂には決まったパターンがあるので、類型に分けて事実と照らします。
- 類型1「偏差値が低めだからFラン・恥ずかしい」:前述の通り河合塾で45〜50。37.5未満のFラン定義には当てはまりません。総合大学の看板学部と比べれば派手さはありませんが、これは学部が保健医療福祉に特化しているためで、学力水準が全入ということではない。
- 類型2「ほぼ女子大でやばい」:公式データでは保健医療福祉学部全体の女性比率が86.5%。看護学科は女性95.1%、口腔保健科学専攻は100%です。ただしこれは埼玉県立大学が特殊なのではなく、看護・リハ・福祉という分野全体の全国的な傾向です。実際、理学療法学科は男性46.6%・女性53.4%とほぼ半々で、専攻によって大きく違います。男女比は学部特性であって、大学の質の高低ではありません。
- 類型3「立地が田舎・駅から遠くてやばい」:これは一定の事実です。最寄りのせんげん台駅から徒歩約20〜25分、周辺には田畑が広がります。口コミサイトでも立地・アクセスの評価は公立大学の中で平均以下です。ただし裏を返せば、広くて静かで整備されたキャンパスという評価にもつながっており、テレビドラマのロケ地に使われるほどです。快適さと利便性のトレードオフだと捉えるのが妥当です。
- 類型4「県立でマイナー・世間に知られていなくて恥ずかしい」:全国的な知名度は総合大学に劣ります。しかし保健医療福祉の専門大学としては、県内の医療・行政機関への就職実績と国家資格の合格実績で確固たる立ち位置を築いています。ブランドの知名度と、就職・資格という実利は別物です。
結論として、「やばい」の中身をほどくと、その大半は立地の不便さと、専門特化ゆえの地味さに集約されます。学力が全入で崩壊しているという意味の「やばい」ではありません。
就職・進路:学科別就職率91〜99%、県内医療機関に強い(大学公式)
資格系大学の真価は出口に出ます。河合塾Kei-Netと大学公式の進路データから、2024年度卒業者の学科別就職率を並べます。
| 学科 | 卒業者 | 就職者 | 就職率 |
|---|---|---|---|
| 看護学科 | 153 | 150 | 98.0% |
| 理学療法学科 | 39 | 37 | 94.9% |
| 作業療法学科 | 43 | 42 | 97.7% |
| 社会福祉子ども学科 | 70 | 69 | 98.6% |
| 健康開発学科 | 117 | 107 | 91.4% |
さらに国家試験の合格状況(大学公式・2026年)を見ると、看護師99.2%(125/126)、保健師97.4%(37/38)、助産師100%(17/17)と、いずれも全国平均を上回る水準です。理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・歯科衛生士などでも例年高い合格率を維持していると大学は公表しています。資格に直結する学部として、出口の数字は非常に強い。
主な就職先も具体的です(大学公式)。看護学科は埼玉県立がんセンター、さいたま赤十字病院、埼玉医科大学総合医療センター、自治医科大学附属さいたま医療センター、越谷市立病院のほか、国立成育医療研究センターや国立がん研究センター中央病院、虎の門病院など県外の中核病院にも送り出しています。理学療法・作業療法学科は埼玉県立小児医療センター、埼玉県総合リハビリテーションセンター、獨協医科大学埼玉医療センターなど。社会福祉子ども学科は埼玉県・法務省・警視庁・東京都福祉局・さいたま市といった公務員や、LITALICO・埼玉県社会福祉事業団などの福祉分野。健康開発学科の検査技術科学専攻は慶應義塾大学病院や県立がんセンターなどに進んでいます。県内就職に強く、公務員・公的医療機関への安定就職が目立つのが特徴です。
学べること:保健医療福祉の13資格と専門職連携教育(IPW)
埼玉県立大学は保健医療福祉学部という単一学部で、5学科・専攻に分かれています。取得を目指せる免許・資格は幅広く、看護師・保健師・助産師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・精神保健福祉士・臨床検査技師・歯科衛生士に加え、高等学校教諭・中学校教諭・養護教諭・保育士・幼稚園教諭などが挙げられます。「手に職」を明確な目標にできる大学です。
- 看護学科:臨床から地域・在宅まで、看護実践力を少人数で育てる。看護師に加え保健師・助産師の受験資格を選択できる課程を持つ。
- 理学療法学科/作業療法学科:身体機能と生活の両面からリハビリを学ぶ。実習時間が長く、臨床現場に直結する。
- 社会福祉子ども学科:社会福祉学専攻と福祉子ども学専攻に分かれ、社会福祉士・精神保健福祉士や保育・教育系の資格を目指す。
- 健康開発学科:健康情報学・検査技術科学・口腔保健科学の3専攻。臨床検査技師や歯科衛生士など、医療を支える専門職を養成する。
この大学の看板は、学科を越えて多職種でチームを組む「専門職連携教育(IPW/IPE)」です。看護・リハ・福祉・検査の学生が学部横断で協働を学ぶ設計は先進的で、文部科学省などからも評価を受けてきました。医療現場がチーム医療に移行するなか、入学段階から連携を体で覚えられるのは、就職後に効く実利的な強みです。
入試方式と合格難易度:共通テスト54〜67%が現実的なライン
入試は大きく一般選抜(前期日程)、学校推薦型選抜、総合型選抜があります。難易度の目安は、河合塾が示す共通テストのボーダー得点率が54〜67%、個別の二次を含めた学部学科ランク偏差値が45.0〜50.0です。
- 看護・理学療法・検査技術科学は共通テストで63〜67%が求められ、学部内では相対的に難しい部類です。
- 健康情報学専攻や作業療法学科は54〜56%と、学部内では入りやすいラインです。
- 公立大学のため、埼玉県内在住者向けの推薦枠など、地域とのつながりを重視した選抜も用意されています(卒業後に県内で関連職に就く意志を求める方式など)。
「共通テストで6割前後」というのは、平均的な受験生が本気で対策すれば十分射程に入る水準です。難関とまでは言えませんが、無対策で受かる全入校でもない。国公立志望として、地に足のついた目標になる難易度だと私は見ています。倍率や配点は年度で動くので、最新の募集要項で各方式の科目・配点を必ず確認してください。
学費・奨学金:4年総額は県内で約270万円(公立の低コスト)
公立大学の強みはコストです。大学公式によると学費は次の通りです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金(埼玉県内の者) | 211,500円 |
| 入学金(埼玉県外の者) | 423,000円 |
| 授業料(年額) | 621,000円 |
単純計算で4年間の授業料は621,000円×4=2,484,000円。ここに入学金を足すと、県内在住者で約270万円、県外在住者で約291万円が学費の総額です。私立の医療・看護系が4年間で500〜700万円規模になることを思えば、半額以下で同じ国家資格を狙えるのは大きい。教科書代や実習着などで年2〜7万円程度、学生教育研究災害傷害保険料が4年で約4,000円かかりますが、実習費や施設費は別途徴収されません。
奨学支援も整っています。国の高等教育修学支援新制度の対象校で、日本学生支援機構の給付型奨学金と、大学による入学料・授業料減免を併せて受けられます。2025年度からは、扶養する子どもが3人以上の多子世帯について所得制限なく授業料等減免の対象となる支援も始まっています。学費の安さと支援の手厚さは、この大学を選ぶ現実的な理由の一つです。
立地・キャンパス:せんげん台駅から徒歩20分、グッドデザイン金賞の広大な敷地
キャンパスは埼玉県越谷市三野宮820。東武スカイツリーライン(伊勢崎線)のせんげん台駅から徒歩約20〜25分、駅前ロータリーからは大学行きのバスも出ており、バスなら約5分です。周辺は田畑ののどかな環境で、口コミでも「静かで落ち着く」という声と「駅から遠い」という不満が両方あります。立地の利便性は正直、公立大学の平均を下回ります。
一方でキャンパスそのものの評価は高く、グッドデザイン賞金賞を受賞した開放的で緑豊かな設計は、テレビドラマの撮影に使われるほどです。情報センター(図書館)は開架・保存あわせて約10万冊の収容力を持ち、実習室や情報ラウンジ、個人ブースなど、学びの設備は充実しています。せんげん台駅前はスーパー・飲食店・書店・銀行が揃い、生活面で困ることは少ない。都心のキャンパスライフを求めるなら物足りませんが、実習中心で腰を据えて資格を取りに行くには、むしろ集中しやすい環境です。
埼玉県立大学が向く人・合わない人
ここまでの一次データを踏まえ、私の受験指導の経験から向き不向きを整理します。
- 向く人:看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・臨床検査技師・歯科衛生士など、医療福祉の国家資格で確実に手に職をつけたい人。埼玉県内・首都圏の医療機関や公務員として安定就職したい人。少人数で面倒見のよい実習重視の環境を求める人。学費を公立水準に抑えたい人。多職種連携(チーム医療)に早くから触れたい人。
- 合わない人:大人数のサークルや文理多様な出会いといった総合大学型のキャンパスライフを最優先する人。商社・金融など文系総合職で潰しをきかせたい人(この大学は資格職への特化が強みで、汎用的な文系就職向きではありません)。駅近・都心の利便性を重視する人。偏差値やブランドの知名度で大学を選びたい人。
要するに、資格職への明確な意志があるほど価値が高まり、漠然とした大学生活への憧れで選ぶほどミスマッチが起きやすい大学です。
まとめ:埼玉県立大学はFランか
結論をはっきり言います。埼玉県立大学はFランではありません。理由を一次データで並べ直します。
- 偏差値:河合塾の学部別ボーダーは45.0〜50.0(代表47.5)。Fランの定義である偏差値37.5未満・BFには該当しない。
- 充足率:収容定員1,590人に対し在学生1,632人、充足率102.6%。定員割れは起きておらず、選抜が成立している(当サイトが公式データから算出した中立指標)。
- 出口:国家試験は看護師99.2%・保健師97.4%・助産師100%(2026年)。学科別就職率は91〜98%台で、県内医療機関・公務員に強い。
ただし難関大学というわけでもありません。共通テスト6割前後で射程に入る、保健医療福祉に特化した中位の公立専門大学、というのが持ち上げすぎず貶めすぎずの実像です。医療・看護・リハビリ・福祉といった資格系は、偏差値の数字より国家試験と就職という出口で評価すべき分野であり、その基準で見れば埼玉県立大学の実力は堅実です。「やばい」「恥ずかしい」という噂の多くは、立地の不便さと専門特化ゆえの地味さに由来するもので、学力の崩壊を指すものではありません。資格職を目指す明確な意志があるなら、費用対効果の高い有力な選択肢だと私は評価します。
よくある質問
埼玉県立大学はFランですか?
Fランではありません。河合塾の学部別偏差値は45.0〜50.0で、Fランの定義(偏差値37.5未満・実質全入)に当てはまりません。収容定員1,590人に対し在学生1,632人で充足率102.6%と定員割れもなく、選抜が成立しています。難関ではありませんが、保健医療福祉に特化した中位の公立専門大学というのが実像です。
埼玉県立大学の偏差値はどのくらいですか?
河合塾Kei-Netのボーダー偏差値(学部学科ランク)で45.0〜50.0です。看護・理学療法・検査技術科学が50.0、作業療法・福祉子ども学・健康情報学・口腔保健科学が45.0、社会福祉学が47.5。共通テスト得点率のボーダーは54〜67%です。進研模試など母集団の異なる予備校では53〜59と高めに出ることもあります。
埼玉県立大学の就職や国家試験の実績は良いですか?
良好です。大学公式・河合塾データによると2024年度卒の学科別就職率は91.4〜98.6%。国家試験合格率(2026年)は看護師99.2%、保健師97.4%、助産師100%と全国平均を上回ります。主な就職先は埼玉県立がんセンターやさいたま赤十字病院などの県内医療機関、県・市の公務員が中心です。
「埼玉県立大学はやばい・恥ずかしい」と言われるのはなぜですか?
噂の中身の多くは、最寄りのせんげん台駅から徒歩20〜25分という立地の不便さと、保健医療福祉に特化した専門大学ゆえの地味さ・知名度の低さに由来します。学力が全入で崩壊しているという意味ではありません。女性比率が高い(学部全体で86.5%)点も挙げられますが、これは看護・福祉分野全体の傾向で、理学療法学科は男女ほぼ半々です。
埼玉県立大学の学費はいくらですか?
公立大学のため比較的安く、入学金は埼玉県内在住者211,500円・県外423,000円、授業料は年額621,000円です。4年間の総額は県内で約270万円、県外で約291万円。国の高等教育修学支援新制度の対象校で、給付型奨学金や授業料減免も受けられます。2025年度からは子ども3人以上の多子世帯向け支援も拡充されています。
埼玉県立大学はどんな人に向いていますか?
看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・臨床検査技師・歯科衛生士など、医療福祉の国家資格で手に職をつけたい人、県内・首都圏で安定就職したい人、少人数の実習重視環境を求める人に向いています。逆に総合大学型のキャンパスライフや文系総合職での就職、駅近・都心の利便性を重視する人にはミスマッチが起きやすい大学です。