― 大学別データ判定 ―
公立小松大学は本当にFラン?いや、偏差値47.5の実力を数字で論破する
石川県小松市の公立大学。河合塾偏差値42.5〜47.5、学部の収容定員充足率104.7%、就職内定率100%。「やばい・恥ずかしい」という噂の実体を、当サイト独自の中立基準で確かめます。

この記事の目次
1. 河合塾偏差値と共通テスト得点率(学部別)
まず学力の物差しから確認します。河合塾Kei-Netの偏差値(2027年度入試向け)を学部・学科ごとにまとめると次の通りです。
| 学部 | 学科 | 河合塾偏差値 | 共通テスト得点率(目安) |
|---|---|---|---|
| 国際文化交流 | 国際文化交流 | 47.5 | 62〜70% |
| 生産システム科学 | 生産システム科学 | 42.5 | 52〜63% |
| 保健医療 | 看護 | 47.5 | 55〜69% |
| 保健医療 | 臨床工 | 47.5 | 53〜58% |
代表偏差値はおおむね47.5前後、最も低い生産システム科学科でも42.5です。偏差値40を割る学科は無く、いわゆるボーダーフリー(偏差値がつかない状態)に該当する学科もありません。
注意したいのは、偏差値は模試の主催者によって数字が変わることです。河合塾では42.5〜47.5ですが、進研模試(Benesseマナビジョン)は母集団が異なるため47〜57と高めに出ます。一方でスタディサプリ進路は37.5〜42.5と低めに出ます。同じ大学でも「どの物差しか」で印象が大きく変わるため、単独の数字だけを見て判断しないのが鉄則です。私は受験指導の現場で、この尺度の違いを説明せずに「偏差値が低いからFラン」と決めつける情報を数多く見てきました。
共通テスト得点率は学科により52〜70%。国公立大学として共通テストと個別(二次)試験の二段階選抜を課しており、「誰でも入れる」構造ではないことは、この時点で明らかです。
2. ここが本題|収容定員充足率104.7%が示す二つの顔
偏差値は入口の難易度を示すだけで、大学が実際に機能しているかまでは分かりません。私がFラン判定で最も重視するのは、収容定員充足率です。定員に対して在学生が実際どれだけ埋まっているか。経営が細っている大学ほどこの数字は下がります。これは公式の「学生の定員・現員」から計算できる一次データで、噂の入り込む余地がありません。
公立小松大学の学部(令和8年5月1日現在)で計算します。収容定員は入学定員80名×4年で1学部320名、3学部合計960名。これに対する在学生数(現員)から充足率を出すと次の通りです。
| 学部 | 収容定員 | 在学生数(現員) | 充足率 |
|---|---|---|---|
| 生産システム科学 | 320 | 330 | 103.1% |
| 保健医療 | 320 | 335 | 104.7% |
| 国際文化交流 | 320 | 340 | 106.3% |
| 学部合計 | 960 | 1,005 | 104.7% |
ポジティブな顔。充足率104.7%は、定員を満たしているどころか超過しています。定員割れ(充足率が100%を大きく下回る状態)は経営難やFランの典型的なサインですが、公立小松大学はその正反対です。2018年開学の新設・地方公立でありながら、開学から7年で安定して定員を埋め切っている。これは「そもそも受験生が集まらない大学」という噂を、数字が明確に否定しています。
もう一つの顔も正直に書きます。国公立大学は前期日程で合格すると入学がほぼ確定するため、私立に比べて充足率が定員ちょうどに収束しやすい構造的な特性があります。つまり104.7%は「爆発的な人気」ではなく「堅く埋まる」に近い意味です。加えて充足率が高い状態を保つ=定員を増やしていない=規模が固定、ということでもあり、小規模ゆえに知名度が全国区へ伸びにくい弱点とも表裏一体です。まとめると、公立小松大学は「定員は堅く埋まるが、急拡大して化けるタイプではない」。この二面性を冷静に押さえておくと、噂に振り回されずに済みます。
(収容定員充足率は公式「学生の定員・現員」令和8年5月1日現在の在学生数から当サイトが算出しました。定員・現員は大学ポートレートでも公表されています。)
3. 「やばい・恥ずかしい」噂を類型で検証する
検索でよく出てくるネガティブな声を、個別の書き込みを引き写すのではなく、類型に分けて一つずつ確かめます。
- 「無名・知名度が低い」…事実に近いですが、原因は明快です。2018年開学で歴史が浅く、卒業生の絶対数がまだ少ないため、社会に名前が広がりきっていません。学力の低さとは別の話です。
- 「学食がない・キャンパスがビルの中」…中央キャンパスは小松駅前の複合ビル「こまつアズスクエア」内にあり、大規模な学食はありません。ただし駅前で飲食店やコンビニは充実しており、口コミでも立地の良さは高く評価されています。設備の綺麗さにキャンパス間の差がある、という声は実在します。
- 「Fランでは」…偏差値42.5〜47.5、共通テスト得点率52〜70%、国公立の二段階選抜という時点で、Fラン(ボーダーフリー・誰でも入れる)の定義に当てはまりません。
- 「匿名掲示板でDランク扱い」…匿名ランキングでは国公立の中で下位に置かれることがあります。ただしそうしたまとめでも「国公立の一員であり就活の学歴フィルターにかかりにくい」と評されるのが通例で、評価は一枚岩ではありません。
- 「県外で就職できるか不安」…後述の通り北陸志向が強い大学ですが、県外の大手企業や大学院進学の実績もあります。
「恥ずかしい」という感情は、実力ではなく知名度の低さから来ていることが多いものです。私自身が偏差値40の大学出身で同じ引け目を経験しましたが、社会に出てから効いてくるのは大学名の派手さより、資格・専門・就職の出口でした。公立小松大学は、その出口が数字で見える大学です。
4. 就職・進路(大学公式データ主軸)
ここは噂ではなく公式の一次データで見ます。公立小松大学公式サイトの2025年度就職実績(2026年3月23日現在)は次の通りです。
| 区分 | 人数・割合 |
|---|---|
| 卒業者 | 246名 |
| 就職希望者 | 197名 |
| 就職内定者 | 197名 |
| 就職内定率 | 100% |
| 進学者 | 45名 |
| 北陸三県内定率 | 73.1% |
学科別の就職内定者は、生産システム科学科51名、看護学科44名、臨床工学科25名、国際文化交流学科77名。就職希望者に対する内定率は全体で100%です。開学第一期生(2021年度)も就職希望者192名全員が内定しており、実績が一貫しています。
河合塾Kei-Netの2024年度卒の進路概況でも、看護学科は就職98.0%、国際文化交流学部は就職93.2%、生産システム科学部は就職74.6%に進学22.7%(大学院進学が多い)が加わると、学部の性格がそのまま数字に出ています。
医療・資格系は偏差値の数字よりも国家試験と就職の出口で評価すべき、というのが私の一貫した立場です。看護師国家試験の合格率は2025・2026年度いずれも100%、保健師も高水準(2026年度94.4%)。臨床工学技士を養成できる学校は北陸で希少で、専門性がそのまま就職の強さになっています。
主な就職先(Benesseマナビジョン掲載)は、製造業では小松製作所(コマツ)、コマニー、小松マテーレ、金沢村田製作所、加賀東芝エレクトロニクス、澁谷工業、PFU、セイコーエプソン、三菱電機、YKK APなど。看護学科は小松市民病院、加賀市医療センター、石川県立中央病院、金沢大学附属病院、福井大学医学部附属病院など。公務では小松市・加賀市などの地元自治体や国家一般職。大学院進学では北陸先端科学技術大学院大学、金沢大学、北海道大学、神戸大学、大阪公立大学などの名前が並びます。
5. 学べること・学部の特色
公立小松大学は3学部4学科の小規模構成です。それぞれ性格がはっきりしています。
- 国際文化交流学部 国際文化交流学科…英語に加えて中国語が必修。南加賀の歴史・文化を土台に国際感覚を養う、地域と世界をつなぐ「グローカル」志向。留学や語学研修の科目があります。
- 生産システム科学部 生産システム科学科…生産機械コースと知能機械コースがあり、機械・情報・電気を横断的に学びます。ものづくりの街・小松(コマツ企業城下町)と結びついた実学で、大学院進学者も多い学部です。
- 保健医療学部 看護学科…看護師を養成し、保健師課程も選べます。小松市民病院などと連携し、災害訓練など実践的な学びがあります。
- 保健医療学部 臨床工学科…医療機器を扱う臨床工学技士を養成。北陸では数少ない養成校で、医用生体工学や生体機能代行技術を学びます。
共通教育(1・2年)は全学部が同じキャンパスで学ぶため、理系・文系・医療系の学生が交わる環境です。少人数で教員との距離が近く、金沢大学と兼任する教員も講義に立つ、という口コミがあります。専門が明確な大学なので、「何を武器にして卒業するか」を入学前にイメージしやすいのが特徴です。
6. 入試方式と合格難易度
国公立大学なので、大学入学共通テストと個別(二次)試験の組み合わせが基本です。生産システム科学科には中期日程があり、中期は前期より偏差値・得点率がやや高く出る傾向があります(募集人数が少なく、他大学の併願上位層が集まりやすいためです)。
合格難易度の目安は、河合塾偏差値42.5〜47.5、共通テスト得点率52〜70%。学科によって共通テストと個別の配点が異なるため、志望学科の配点は必ず募集要項で確認してください。倍率は年によって変動するため、公式の入試結果やパスナビで最新値を確認するのが確実です。
なお公立小松大学は、令和10年度(2028年度)入試で総合型選抜の新設と募集人員の変更を予告しています。これから受験する学年は、入試方式が変わる可能性を前提に、最新の募集要項を追う必要があります。過去の情報だけで対策を固めないよう注意してください。
7. 学費・奨学金
公立大学なので学費は私立より大幅に安く、これが最大のコストパフォーマンスです。公式(授業料・奨学金ページ)とBenesseマナビジョンによる納入金は次の通りです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学料(市内者) | 282,000円 |
| 入学料(市外・その他) | 423,000円 |
| 授業料 | 585,800円/年 |
| 実習費(生産・保健) | 50,000円/年 |
| 初年度合計(生産・保健・市外) | 1,058,800円 |
| 初年度合計(国際・市外) | 1,008,800円 |
「市内者」とは、入学者本人または保護者が入学前年の4月1日以前から小松市内に住民登録・住所を持つ人を指し、入学料が282,000円に軽減されます。このほか4年間で保護者会費20,000円・同窓会費10,000円が必要です。国際文化交流学部は実習費がかからないため、初年度がやや安くなります。
奨学金は、国の「高等教育の修学支援新制度」の対象校で、日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金と入学料・授業料減免が利用できます。大学独自の入学料・授業料減免制度もあります。学生寮は定員40名・寮費月30,000円(食費別)と安価です。私立の理系や医療系の学費と比べると、4年間の総額差は数百万円規模になり得ます。学費で進路を狭めたくない家庭にとって、公立という選択は現実的な意味を持ちます。
8. 立地・キャンパス
キャンパスは小松市内に分かれています。1・2年生の共通教育は小松駅前の複合ビル「こまつアズスクエア」内の中央キャンパスと中央第2キャンパス、生産システム科学部の本部機能は栗津キャンパスにあります。学部・学年によって通う場所が変わる点は、入学前に把握しておくと良いでしょう。
最大の強みは立地です。小松駅は北陸新幹線の停車駅(2024年3月の敦賀延伸で新幹線が停車)で、通学や地域連携に便利。駅前にはコンビニや飲食店が揃い、イオンモールへのシャトルバスもあります。口コミでも「駅に近く通いやすい」「新しいキャンパスは綺麗」という声が多い一方、「中央キャンパスに体育館や大規模な学食がない」「キャンパスによって設備にムラがある」という指摘も実在します。総じて、大学生活の華やかさより、学びと通学のしやすさを取る大学だと言えます。
9. 向く人・合わない人
ここまでの一次データを踏まえ、私の指導経験から向き不向きを整理します。
- 向く人…学費を抑えて公立で堅実に学びたい人。北陸・石川で就職したい人。看護師・保健師・臨床工学技士など、資格と専門で出口を固めたい人。少人数で教員との距離が近い環境を好む人。地元のものづくり企業や医療機関に強いパイプを求める人。
- 合わない人…全国区の知名度やブランドを最優先したい人。マンモス校のサークルやイベントなど賑やかなキャンパスライフを求める人。都市部・県外の大企業を主戦場にしたい人(実績はありますが、大学の主軸は北陸志向です)。
「恥ずかしいかどうか」で迷っているなら、判断材料は名前の響きではなく、あなたが4年後に立ちたい場所です。北陸で資格や専門を武器に働くつもりなら、公立小松大学の出口は十分に戦えます。逆に、大学名そのものを最大の武器にしたいなら、別の選択肢と比較する価値はあります。
まとめ|公立小松大学はFランか
結論を繰り返します。公立小松大学はFランではありません。河合塾偏差値42.5〜47.5、共通テスト必須の国公立という時点でFランの定義に当てはまらず、学部の収容定員充足率104.7%(定員超過)、就職内定率100%、看護師国家試験合格率100%という一次データが、それを裏づけます。
一方で「やばい・恥ずかしい」という声が消えないのも理解できます。その正体は学力ではなく、2018年開学・地方・小規模ゆえの知名度の低さです。全国ブランドを求めるなら物足りず、北陸で資格と専門を武器にするなら堅い。これが公立小松大学の実像です。噂の一言でふるいにかけず、偏差値・充足率・就職の数字で、あなた自身の基準で判断してください。
(本記事はFラン大学.comによる中立の独自判定です。偏差値は河合塾Kei-Net、就職・定員は公立小松大学公式、口コミはみんなの大学情報等を参照しました。)
よくある質問
公立小松大学はFランですか?
Fランではありません。河合塾偏差値は42.5〜47.5、共通テスト得点率52〜70%で、共通テストと個別試験の二段階選抜を課す国公立大学です。ボーダーフリー(誰でも入れる)というFランの定義には当てはまりません。学部の収容定員充足率も104.7%と定員を満たしており、経営難やFランの典型サインである定員割れとは正反対です。
なぜ「やばい」「恥ずかしい」と言われるのですか?
主な理由は2018年開学の新設・地方・小規模で知名度が低いことです。卒業生の絶対数がまだ少なく、社会に名前が広がりきっていないため、匿名掲示板などでネガティブに語られやすい面があります。ただしこれは学力や就職の実態とは別の話で、数字で見れば堅実な公立大学です。
就職は良いですか?
公式の2025年度就職実績(2026年3月23日現在)で就職内定率100%、北陸三県の内定率は73.1%です。看護師国家試験の合格率も2025・2026年度とも100%。地元のものづくり企業や医療機関、公務員に強く、大学院進学の実績もあります。
偏差値はどのくらいですか?
河合塾Kei-Netで42.5〜47.5、共通テスト得点率52〜70%が目安です。ただし進研模試(Benesse)では47〜57、スタディサプリ進路では37.5〜42.5と、模試の主催者によって数字が変わります。単独の数字で判断せず、複数の物差しで見るのが正確です。
学費はいくらですか?
入学料は市内者282,000円・市外423,000円、授業料は年585,800円です。生産システム科学部と保健医療学部は実習費が年50,000円加わります。市外出身者の初年度合計はおおむね100万〜106万円で、私立と比べて大幅に安く抑えられます。JASSO給付型奨学金や授業料減免の対象校でもあります。
県外での就職はできますか?
北陸三県志向が強い大学ですが(内定者の73.1%が北陸三県)、県外の大手メーカーや県外の病院、大学院進学の実績もあります。都市部・県外を主戦場にしたい場合は本人の動き方次第で、大学の主軸は地元就職にある点を理解しておくとよいでしょう。