― 大学別データ判定 ―
【偏差値が出ない】岩手保健医療大学は本当にFランなのか、データで判定
河合塾Kei-Netの偏差値、私学事業団の充足率、大学公式の就職データだけで判定する

この記事の目次
岩手保健医療大学の偏差値は河合塾で35.0。これが何を意味するか
まず土台の数字から入ります。私は「偏差値が高い低い」だけで大学を語るのは好きではありませんが、Fランかどうかを問う以上、河合塾の入試難易度は避けて通れません。河合塾Kei-Net(2027年度入試、更新日2026年7月1日)およびそのデータを使う旺文社パスナビによると、岩手保健医療大学の入試難易度は次のとおりです。
| 学部 | 学科 | 偏差値(河合塾) | 共テ得点率 |
|---|---|---|---|
| 看護学部 | 看護学科 | 35.0(実質ボーダーフリー) | 非公表 |
ここで大事なのは、35.0という数字の読み方です。河合塾Kei-Netは自ら注記しています。難易度帯は「37.5未満」を最下の帯とし、その帯は便宜上35.0で表示すると。つまり35.0とは「37.5に届かない層をひとまとめにした最下限の表示」であって、河合塾が合格可能性50%ラインを個別に引けている偏差値ではありません。実務的にはBF(ボーダーフリー)とほぼ同義です。学びコネクトなど複数の情報サイトが偏差値をBFと表記しているのはこのためで、35.0表記とBF表記は矛盾していません。
当サイトはこの状態を独自の中立判定でS:ボーダーフリーと置いています。S:BFとは、河合塾が難易度を出せない最下層、いわゆる真性Fラン帯です。偏差値35前後で誰でも受かるに近い純Fラン帯(当サイト判定A)よりもさらに下、選抜としての機能がほぼ働いていない層という意味です。念のため付け加えると、これは当サイトが河合塾の公表データをもとに機械的に置いた中立ラベルであって、教育の中身や価値を貶める評価ではありません。参考までに、同じ盛岡市の岩手医科大学も看護学部は35.0(医学部は60.0から62.5)で、看護系の単科・小規模大学は全国的に35.0付近に並びます。看護系においてBFは珍しい水準ではない、という前提を先に置いておきます。
ここが本題。収容定員充足率82.2%が示す二面性
偏差値だけを見て「Fランだからダメ」と切り捨てるのは早い、と私が考える理由がこの章です。上位に並ぶ記事のほとんどは偏差値と就職率を並べて終わりですが、大学の実態を測るなら、私はもう一つの数字を必ず見ます。収容定員充足率です。
収容定員充足率とは、大学が国に届け出た収容定員(在籍できる学生数の枠)に対して、実際に何人在籍しているかの比率です。私学版大学ポートレート(日本私立学校振興・共済事業団)2025のデータで、岩手保健医療大学の充足率は82.2%。この一つの数字に、この大学の二面性が全部詰まっています。
| 充足率の一般的な目安 | 状態の読み方 |
|---|---|
| 100%以上 | 定員を満たしている。募集は健全 |
| 80%から100% | 定員割れだが、規模は維持できている |
| 80%未満 | 経営面で注意が必要な水準 |
まずネガティブな面。82.2%は100%を割っています。これは定員割れであり、募集が定員に届いていないことを意味します。偏差値がBFに沈む直接の原因もここにあります。定員に対して志願者が過剰でなければ、選抜のふるいはかからず、河合塾は合格ラインを引けません。後述する入試倍率がほぼ1.0倍であることとも、きれいに整合します。
次にポジティブな面。82.2%という水準は、看護系単科としては壊滅的な数字ではありません。近年の私立大学は定員割れがめずらしくなく、地方の小規模私大では充足率が5割6割まで落ちる例もあります。そのなかで8割を保っているのは、地域特別推薦(後述、県内高校向けで28名)という地元密着の入口で毎年一定数を確保できているからです。読み替えれば、82.2%は「選抜が機能していない」ことの証拠であると同時に、「岩手で看護師を育てる装置として、地域から一定の需要が続いている」ことの証拠でもあります。私はこの二面性こそが、この大学をただのFランとして片づけられない理由だと考えています。
「やばい」「恥ずかしい」の噂を、類型で検証する
検索窓に大学名を入れると「やばい」「恥ずかしい」が一緒に並びます。私は個別の書き込みを逐語で持ち込むことはしません(特定の誰かを傷つける言葉の再掲は、検証ではなく拡散です)。代わりに、噂の中身を三つの類型に分けて、事実で受け止めます。
- 偏差値ラベル型。BF=Fランだから恥ずかしい、という学歴フィルタ的な不安です。事実として河合塾では最下層です。ただし看護は資格職で、就職の現場で効くのは大学の偏差値より国家試験に受かるかどうかです。この点は次章の数字で確認します。
- 学費コスパ型。学費が高い割に規模が小さい、設備が限られる、という声の類型です。単科・小規模ゆえの構造で、学費と規模の数字は学費章で並べます。感情ではなく金額で見れば、割高感がどこから来るのかは説明できます。
- 学生生活型。サークルや大学行事が活発でない、という類型です。これは駅近・通学型・資格特化という校風の裏返しでもあります。総合大学的な賑わいを期待すると物足りない、という相性の問題に近いものです。
私の立場をはっきりさせます。噂に反応する前に、資格・就職・国家試験という出口の数字を見るべきです。ラベルは入口の話、資格職にとって本当に重いのは出口の話です。ここを取り違えると、看護系の大学選びは必ずぶれます。
就職と国家試験。大学公式の進路データで見る
ここは推測を排して、大学公式の情報公開(卒業者数・国家試験合格率・卒業後の進路状況)を主軸に置きます。まず進路状況です。
| 年度 | 卒業者数 | 就職率 | 岩手県内 | 岩手県外 | 進学 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 81名 | 100% | 43名 | 33名 | 3名 |
| 令和6年度 | 77名 | 100% | 23名 | 52名 | 1名 |
| 令和7年度 | 47名 | 97.8% | 23名 | 22名 | 0名 |
就職率はほぼ100%です。ただし正直に言えば、看護系はどこの大学でも就職率が高く出ます。資格職で人手不足の分野なので、これは本学固有の強みというより看護系の宿命です。県内と県外の内訳を見ると、地元定着と県外流出が年ごとに揺れているのが分かります(令和6年度は県外52名と外向き、令和7年度は県内県外がほぼ半々)。差がつくのは就職率ではなく、その手前の国家試験です。
| 看護師国家試験(新卒) | 本学合格率 | 全国合格率 |
|---|---|---|
| 令和5年度(第113回) | 96.3% | 93.2% |
| 令和6年度(第114回) | 94.8% | 95.9% |
| 令和7年度(第115回) | 91.5% | 94.1% |
看護師国家試験の新卒合格率は、全国平均と同水準(±数ポイント)で推移しています。令和5年度は全国を上回り、令和6・7年度はやや下回りました。BFの大学だから国試も低い、という単純な話ではないことが数字で分かります。保健師国家試験(新卒)は令和5年度95%、令和6年度100%、令和7年度72.7%と年による振れが大きいですが、これは保健師課程が選択制(定員20名)で母数が小さいためで、少人数ゆえに一人二人の増減で率が動くと読むのが正確です。結論として、この大学の出口は偏差値ではなく国試を通せるかで決まっており、そこは全国並みに機能しています。
学べること。看護学部看護学科という一本槍の中身
岩手保健医療大学は2017年4月に開学した、看護学部看護学科(4年制)のみの単科大学です(日本看護系大学協議会の会員校)。学部が一つしかない、という事実は弱点にも強みにも読めます。総合大学のような学びの横幅はありませんが、大学全体のリソースが看護一本に集中している、とも言えます。
- 取れる資格。卒業時に看護師国家試験の受験資格は全員が得られます。保健師は選択制で定員20名(公式・マイナビ進学の募集情報)。将来の進路の幅を、入学後の選択で作れる設計です。
- 建学の精神。ケア・スピリット(自ら進んでケアに向かう姿勢)を掲げ、地域の看護師不足に応える地域密着型を明言しています。岩手で学び、地元で活躍する看護師・保健師を育てる、という一貫した看板です。
- 学びの環境。少人数のゼミ形式や学生アドバイザー制度でフォローする体制、医療場面を想定したシミュレーション設備を備えます。規模が小さいことが、教員と学生の距離の近さに転じている面です。
- 大学院。看護学研究科(修士課程)もあり、河合塾Kei-Netの実績では修了者5名が全員就職しています。学部で終わりではなく、研究・教育職への道も学内に用意されています。
要するに、この大学は幅ではなく深さで勝負する設計です。岩手で看護職になると決めている人にとっては、迷いの少ない構造だと私は見ています。
入試方式と合格難易度。定員80名をどう埋めているか
偏差値がBFになる仕組みは、入試の設計を見ると腑に落ちます。看護学科の入学定員は80名。その内訳は次のとおりです(大学公式の入試情報)。
| 入試方式 | 募集人数 |
|---|---|
| 総合型選抜 | 10名 |
| 学校推薦型選抜(一般推薦) | 6名 |
| 学校推薦型選抜(地域特別推薦I) | 28名 |
| 学校推薦型選抜(地域特別推薦II) | 6名 |
| 社会人特別選抜 | 若干名 |
| 一般選抜(A日程) | 25名 |
| 一般選抜(B日程) | 5名 |
注目してほしいのは、地域特別推薦(I・II合わせて34名)が最大の入口だという点です。地域特別推薦Iは岩手県内在住または県内高校生、IIは東北・北海道の高校生が対象で、地元と近隣から確保する地域密着の設計になっています。一般選抜(A・B合計30名)より推薦系のほうが枠が大きく、学力一発勝負よりも評定と推薦で決まる比重が高い大学です。一般推薦は評定平均3.5以上といった要件があり、学力ゼロで入れるわけではありませんが、学力選抜としてのハードルは低い部類です。
合格難易度を示す倍率は、旺文社パスナビ(2025年度)で全選抜ほぼ1.0倍(募集80名に対し志願82名・合格79名)。一般選抜も推薦系もそろって1.0倍前後で、実質全入に近い状態です。現役生比率は74から83%、女子比率は100%。この倍率と充足率82.2%が組み合わさって、河合塾がラインを引けない=BFという結果に落ち着いています。当サイトがS:ボーダーフリーと判定した裏付けは、この入試の実数です。
学費。初年度160万円、4年間で約565万円
感情で語られがちな学費も、公式の学納金で並べれば冷静に見られます。大学公式(学納金・奨学金・特待生制度)の金額は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学金 | 250,000円 |
| 授業料(年額) | 900,000円 |
| 施設設備費(年額) | 250,000円 |
| 実験実習費(年額) | 200,000円 |
| 初年度納入金 合計 | 約1,600,000円 |
| 2年次以降(年額) | 約1,350,000円 |
| 4年間 総額 | 約5,650,000円(概算) |
初年度は入学金を含めて約160万円、2年次以降は約135万円、4年間の合計はおおよそ565万円です。私立大学の看護系はおおむね500万から700万円が相場なので、金額としては中位です。突出して高くはありませんが、国公立ルート(たとえば岩手県立大学の看護)と比べれば当然高く、ここが「学費が高い」という口コミの出どころです。
ただし負担を下げる制度は用意されています。日本学生支援機構の給付奨学金(修学支援新制度の対象校)に加え、岩手県看護職員修学資金は月額6万円以内の貸与で、卒業後ただちに県内の特定施設に就職し5から9年間従事すれば返還が免除されます。さらに特待生制度があり、一般選抜A日程の合格者を対象に、入学時特待生Aは45万円免除(3名以内)、Bは22万5千円免除(7名以内)、在学中特待生(2名以内・45万円免除)も設けられています。つまり県内就職を前提に修学資金を使い、成績上位で特待に入れば、額面の565万円より実質負担はかなり下がる設計になっています。学費は額面だけでなく、この免除ルートまで含めて評価すべきです。
立地とキャンパス。盛岡駅西口徒歩5分という数少ない強み
この大学の分かりやすい強みは立地です。所在地は岩手県盛岡市盛岡駅西通1丁目6番30号で、JR盛岡駅西口から徒歩5分。県南・県北エリアからも自宅通学が可能で、通学の負担が軽いのは資格勉強と実習に追われる看護学生にとって実利があります。周辺には飲食店やショッピングスポットがあり、日常生活の利便性も高い立地です。
校舎は2017年開学の比較的新しい建物で、キャンパスは単一。明るく開放的な空間、学生同士のラウンジ、教職員と相談できるスペースが整えられています。一方で、単科・都市型ゆえに広大な敷地や大規模なサークル文化はありません。前章までで触れた「学生生活が物足りない」という声は、この都市型・資格特化の設計の裏返しでもあります。通学の速さと資格取得への集中を取るか、キャンパスの広さや賑わいを取るか。ここは価値観の分かれ目で、優劣ではなく相性の問題です。
向く人、合わない人
ここまでの数字を、進路選択の判断に翻訳します。私は誰にでも勧める、とは言いません。合う人には強く合い、合わない人にはまったく合わない大学だからです。
- 向いている人。岩手・東北で看護師や保健師になると決めている人。地元就職を志向し、通学のしやすさを重視する人。大学名の学歴ブランドより、資格という出口を確実に取りに行きたい人。推薦で早めに進路を固めたい人。修学資金や特待生を使って実質負担を抑えたい県内志望の人。
- 合わない人。大学名の看板・学歴ブランドを重視する人。総合大学の幅広い学びや大規模な課外活動を求める人。学力で難関を突破する経験自体に価値を置く人。学費をできるだけ抑えたく、国公立の看護系が射程に入っている人(その場合は併願・比較を強く勧めます)。
Fランというラベルは、この大学の入口の一面を確かに言い当てています。しかし進路選択で問うべきは、ラベルではなく「あなたが岩手で看護師になる出口を、この学費と環境で買うか」です。目的が地元での資格取得にあるなら、S:ボーダーフリーであることは減点材料になりません。
まとめ。岩手保健医療大学はFランか
結論を整理します。河合塾Kei-Netの入試難易度は看護学部35.0(37.5未満帯を便宜上35.0と表示した実質ボーダーフリー)。入試倍率はほぼ1.0倍で実質全入に近く、当サイトの中立判定はS:ボーダーフリーです。ラベルとしての「Fラン」は、入口の事実としては正しいと私は認めます。
ただし、それで話は終わりません。収容定員充足率82.2%(私学事業団)は定員割れを示すと同時に、地域の看護供給装置として一定の需要が続いていることも示します。就職率はほぼ100%、看護師国家試験の新卒合格率は全国平均と同水準で推移し、学費は私大看護系の中位で、県内就職なら修学資金の返還免除で実質負担を下げられます。看護系のFランは、一般学部のFランと同じ物差しでは測れません。効くのは偏差値ではなく、資格を取れるか、地元で働けるかです。
私(森田涼)の最終的な見解はこうです。岩手保健医療大学は、学歴ブランドを買う場所ではありません。しかし岩手・東北で看護師になるという目的がはっきりしているなら、地元で資格を取り、地元で働くための装置として十分に機能します。目的が合う人にとって、S:ボーダーフリーというラベルは恥ずべき理由にはなりません。逆に、看板や学びの幅を求める人にとっては、はじめから選択肢に入らない大学です。判断の軸を偏差値から出口に置き換える、それがこの大学を正しく評価する唯一の方法だと考えます。
よくある質問
岩手保健医療大学の偏差値はいくつですか
河合塾Kei-Net(2027年度入試、更新2026年7月1日)で看護学部看護学科35.0です。これは河合塾が37.5未満の層を便宜上35.0と表示したもので、実質はボーダーフリーです。旺文社パスナビも同じ河合塾データで35.0と掲載しています。
岩手保健医療大学はFランですか
河合塾が合格ラインを個別に引けない最下層のため、当サイトの中立判定はS:ボーダーフリーで、ラベル上はFラン帯です。ただし看護は資格職で、就職や国家試験という出口の数字は偏差値とは別物です。判断は偏差値だけでなく出口で見ることを勧めます。
就職や国家試験の実績はどうですか
大学公式の情報公開で就職率はほぼ100%(令和5・6年度100%、令和7年度97.8%)です。看護師国家試験の新卒合格率は令和5年度96.3%、令和6年度94.8%、令和7年度91.5%と、全国平均とほぼ同水準で推移しています。
学費は4年間でいくらかかりますか
大学公式の学納金で初年度は約160万円(入学金25万円ほか)、2年次以降は年約135万円、4年間の合計はおおよそ565万円です。私大看護系の相場の中では中位で、岩手県看護職員修学資金(県内就業で返還免除)や特待生制度で実質負担を下げられます。
入試は難しいですか
旺文社パスナビ(2025年度)で入試倍率は全選抜ほぼ1.0倍(募集80名に志願82名・合格79名)で、実質全入に近い状態です。地域特別推薦など推薦系が最大の入口で、学力一発勝負の比重は低い設計です。
看護師以外の資格は取れますか
看護師国家試験の受験資格は卒業時に全員が得られます。保健師は選択制で定員20名(公式・マイナビ進学の募集情報)です。年度で条件が変わることがあるため、取得できる資格の詳細は最新の募集要項で確認してください。
参考・出典
- 河合塾Kei-Net 大学検索システム(岩手保健医療大学 ボーダー得点率・偏差値)
- 旺文社パスナビ 岩手保健医療大学 偏差値・共テ得点率(河合塾提供・2027年度)
- 旺文社パスナビ 岩手保健医療大学 入試結果(倍率)
- 岩手保健医療大学 公式 卒業者数・国家試験合格率・卒業後の進路状況等
- 河合塾Kei-Net 岩手保健医療大学 進学・就職実績
- 岩手保健医療大学 公式 入試情報(入試方式・定員)
- 岩手保健医療大学 公式 学納金・奨学金・特待生制度
- 日本私立学校振興・共済事業団 私学版大学ポートレート(収容定員充足率)
- 日本看護系大学協議会(JANPU)会員校データベース 岩手保健医療大学(2017年開学)
- マイナビ進学 岩手保健医療大学(立地・保健師定員20名・奨学金)
- みんなの大学情報 岩手保健医療大学の偏差値・口コミ
- 学びコネクト(ai-uruoi.com) 岩手保健医療大学はFランか(上位競合)