― 大学別データ判定 ―
福山市立大学は本当にFラン?いや、偏差値47.5の実力を数字で論破する
河合塾偏差値45.0〜47.5/学部の収容定員充足率107.7%/就職率99.6%。噂の「やばい・恥ずかしい」を公立大学の実像で検証します(受験指導歴8年・森田涼)

この記事の目次
河合塾偏差値は45.0〜47.5。公立大学として中堅の下限に位置する
まず数字から確認します。河合塾Kei-Netが公表している福山市立大学のボーダー偏差値(合格可能性50%ライン)と共通テスト得点率は、学科・コースごとに次のとおりです。
| 学部 | 学科・コース | 河合塾偏差値 | 共テ得点率(前期/後期) |
|---|---|---|---|
| 教育学部 | 児童教育学科 教育コース | 47.5 | 57%/67% |
| 教育学部 | 児童教育学科 保育コース | 45.0 | 55%/65% |
| 都市経営学部 | 都市経営学科 | 45.0 | 56%/66% |
代表値を取ると偏差値45.0前後です。私が受験指導で使う目安では、偏差値42.5を下回ると実質全入に近いグレーゾーンに入りますが、福山市立大学はその線をはっきり上回っています。加えて、これは共通テストを課す公立大学です。前期で得点率55〜57%、後期に至っては65〜67%を求められます。共通テストで6割前後を取れなければ出願の土俵にすら乗れない時点で、誰でも入れる大学ではありません。
ひとつ補足します。教育学部のように資格取得を軸にした学部は、偏差値の数字だけで測るべきではありません。小学校教諭免許や保育士資格は偏差値ではなく、採用試験と国家資格という出口で価値が決まるからです。この視点は就職の章で具体的に見ます。
(出典:河合塾Kei-Net 大学検索システム 福山市立大学 偏差値ボーダー、2027年度入試難易度予想)
ここが本題。学部の収容定員充足率は107.7%で定員割れとは正反対
偏差値や口コミ点数には主観が混じります。私がFランか否かを見極めるとき最も重視するのは、収容定員充足率という一次データです。これは定員に対して実際に何人在籍しているかを示す数字で、定員を大きく割り込む状態(定員割れ)が続く大学ほど、選抜が甘く経営も苦しいFランの典型になります。
福山市立大学が公式に公表している令和8年5月1日現在の在籍者数から計算すると、こうなります。
| 課程・学科 | 収容定員 | 在籍者数 | 充足率 |
|---|---|---|---|
| 教育学部 児童教育学科 | 400 | 420 | 105.0% |
| 都市経営学部 都市経営学科 | 600 | 657 | 109.5% |
| 学部合計 | 1,000 | 1,077 | 107.7% |
| 教育学研究科(大学院) | 16 | 7 | 43.8% |
| 都市経営学研究科(大学院) | 16 | 5 | 31.3% |
学部(学士課程)の充足率は107.7%。定員を割るどころか、定員を超えて学生が集まっています。これは、私立のFラン大学群で常態化している充足率70〜90%台の定員割れとは方向が真逆です。この一点だけでも、福山市立大学をFランに分類するのは無理があります。
ただし正直に二面性も書きます。大学院(修士課程)の充足率は37.5%と低く、定員16人に対して数人という状態です。これは地方公立大学の大学院に広く共通する現象で、学部の人気とは切り離して見るべき数字です。外部の認証評価でも大学院課程の入学定員充足率が低い点は指摘されています。学部志望の受験生が気にする必要はほぼありませんが、研究者志望で大学院まで見据えるなら、規模の小ささは知っておいて損はありません。
なお、私立大学の充足率は私学事業団の大学ポートレート(私学版)で横並び比較できますが、福山市立大学は公立大学のため私学版の対象外です。そこで本記事では、大学自身が公表する一次データ(教育情報の公表)から充足率を算出しました。当サイト独自の中立判定です。
(出典:福山市立大学「教育情報の公表」令和8年5月1日現在/大学改革支援・学位授与機構 認証評価結果)
「やばい・恥ずかしい」で検索される理由を、噂の類型ごとに検証する
検索欄に「やばい」「恥ずかしい」が並ぶと不安になりますが、その多くは事実というより、いくつかの誤解の型に分けられます。私が実データと照らして一つずつ検証します。
- 類型1:私立の「福山大学」との混同。これが最大の原因です。ネット上で「Fラン」「恥ずかしい」と語られる記事の多くは、同じ福山市にある私立の福山大学(偏差値帯35.0〜40.0、5学部14学科)を指しています。公立の福山市立大学(偏差値45.0〜47.5、2学部)とは別法人で、設置者も入試も就職も異なります。名前が一字違いのため、私立大学へのネガティブ評価が市立大学にまで貼り付いてしまっています。
- 類型2:知名度が低い。福山市立大学の開学は2011年で、全国的な知名度はまだ高くありません。しかし知名度と入学難易度は別物です。共通テスト6割前後を課す公立大学であり、知られていないことと入りやすいことは同義ではありません。
- 類型3:匿名掲示板ベースの学歴ランキングで下位に置かれる。2chや5ch換算をうたうランキングでは下位帯に分類されることがありますが、これらは出典不明の主観序列です。河合塾という一次ソースの偏差値45前後、倍率3倍台、充足率107.7%という実データの方が、進路判断の材料としては桁違いに信頼できます。
- 類型4:2学部だけで規模が小さい。教育学部と都市経営学部の2学部体制で、総合大学に比べれば小規模です。ただし小規模は少人数教育や実習の手厚さという裏返しの強みでもあり、欠陥とは言えません。2027年には情報工学部の新設が構想されており、規模は拡大方向にあります。
- 類型5:公立なのに難関ではないというギャップ。公立イコール難関という思い込みがあると、偏差値45前後という数字にギャップを感じます。しかし公立大学の中には地方の中堅校が多数あり、福山市立大学はその標準的な位置づけです。難関ではないが、易しくもない、が正確な評価です。
差別的な書き込みや匿名の順位付けを真に受ける必要はありません。判断は、大学と河合塾が出す一次データに寄せるのが安全です。
就職率99.6%。教員・保育・地元公務員と地場企業に強い
福山市立大学の実像がいちばん出るのが就職です。大学公式が公表する2025年度卒業者の実績はこうなっています。
| 学部 | 就職者数 | 就職率 |
|---|---|---|
| 教育学部 | 101人 | 100.0% |
| 都市経営学部 | 146人 | 99.3% |
| 全体 | 247人/希望者248人 | 99.6% |
この99.6%は就職希望者を分母にした数字です。一方、河合塾Kei-Netが載せる卒業者ベースの就職率は教育学部93.2%、都市経営学部93.9%です。差が出るのは分母の取り方が違うためで、卒業者ベースには大学院進学者や公務員・教員採用の再受験者などが含まれます。どちらの数字で見ても、就職市場での通用度は堅調です。
教育学部の出口は、偏差値表からは見えない強みが出ます。教育コースは53人中40人が小学校教諭、3人が特別支援学校教諭に進み、保育コースは48人中25人が保育所保育士、11人が認定こども園の保育教諭になっています。主な採用先は広島県教育委員会をはじめ、岡山・愛媛・香川・兵庫・東京・千葉など各地の教育委員会、福山市など各自治体の公立保育所です。資格系学部は、この採用実績こそが実力の指標です。
都市経営学部の出口は、金融・保険23人、建設21人、製造20人、卸売・小売16人、公務15人、情報通信11人と、業種が幅広く分散しています。主な就職先には福山市役所ほか公務員のほか、中国銀行、常石造船、神原汽船、福山通運、アイサワ工業、積水ハウス、村田製作所、西日本旅客鉄道、イズミなど、地元経済を支える企業と全国企業が並びます。地域に根を張って働きたい人には手堅い進路です。
(出典:福山市立大学 就職状況/河合塾Kei-Net 進学・就職実績/旺文社パスナビ・Benesseマナビジョン 主な就職先)
学べること。資格を取る教育学部、文理融合の都市経営学部
2学部それぞれの中身を見ておきます。志望動機がここに噛み合うかどうかが、入学後の満足度を最も左右します。
教育学部 児童教育学科は、全国の公立大学で初めて設置された教育学部という経緯を持ちます。教育コースと保育コースに分かれ、小学校教諭一種免許を軸に、特別支援学校教諭免許、幼稚園教諭免許、保育士資格などを組み合わせて取得できます。福山市内の学校や附属の保育現場での実習が多く、机上より現場で鍛える設計です。小学校の先生や保育士を明確に志す人に向いた、資格直結型の学部です。
都市経営学部 都市経営学科は、環境、計画・デザイン、経済・経営、共生・開発という複数の視点から、まちづくりと持続可能な都市社会を学びます。文系理系の枠を超えた学際的な構成で、二級建築士や木造建築士の受験資格につながる科目も置かれています。今はまだ専攻を一つに絞れない、経営も建築も地域政策も横断して見たいという受験生から選ばれています。地元企業や自治体と連携した実践プロジェクトが活発なのも特色です。
加えて、2027年4月に情報工学部(デジタルものづくり、サイバーセキュリティ系のコースを構想)の新設が公表されています。理系志向の受験生にとっては、今後の選択肢が広がる動きです。
(出典:福山市立大学 学部紹介・組織図/広島県 大学情報ポータルサイト)
入試方式と合格難易度。後期日程は倍率17.0倍の狭き門
合格難易度を倍率で見ておきます。2025年度入試の主な結果です。
| 学部 | 選抜区分 | 倍率 | 募集/志願/合格 |
|---|---|---|---|
| 教育学部 | 全選抜合計 | 3.6倍 | 100/685/118 |
| 教育(教育コース) | 前期 | 3.3倍 | 35/155/42 |
| 教育(教育コース) | 後期 | 17.0倍 | 5/229/5 |
| 都市経営学部 | 全選抜合計 | 3.2倍 | 150/881/172 |
| 都市経営 | 前期 | 2.2倍 | 105/296/127 |
| 都市経営 | 後期 | 6.0倍 | 30/494/30 |
入試は一般選抜(前期・後期)に加え、学校推薦型選抜、共通テストを免除する推薦などが用意されています。前期は2〜3倍台で公立大学として標準的ですが、募集人員が数人しかない後期日程は倍率が跳ね上がり、教育コースの後期は17.0倍という狭き門になります。全入とはほど遠く、共通テストと二次で一定の得点が求められる選抜であることは、この倍率からも明らかです。
成績優秀者には入学料を全額免除する制度もあり、前期の成績上位者が対象です。学力で受験費用を回収できる設計になっています。
(出典:旺文社パスナビ 福山市立大学 入試結果/福山市立大学 学費・奨学金)
学費は公立水準。市内在住なら入学金が大きく下がる
費用面は公立大学の強みがそのまま出ます。
- 授業料:年額535,800円(前期・後期の2回に分けて納入)
- 入学料:市外の者423,000円/市内の者253,800円
- 初年度納付金の目安:市内約789,600円/市外約958,800円
ポイントは市内在住者の入学料が大きく下がる点です。本人または一親等の親族が入学月の初日時点で1年以上福山市内に住所を有する場合、入学料が市内価格になります。地元進学の経済メリットは、私立との比較で年数十万円単位の差になります。私立文系の学費と並べれば、総額の差は4年間でさらに開きます。
奨学金も整っています。成績優秀者への入学料減免のほか、福山市奨学資金(月額4万円・無利子の貸与)、日本学生支援機構や各自治体・団体の奨学金が利用できます。授業料減免の制度もあり、経済的な事情で進学をためらう理由は小さい大学です。
なお、入学後は授業料のほかに実習費・教材費が別途必要になり、ノートパソコンの所持が必須とされています。この実費は見込んでおくと安全です。
(出典:福山市立大学 授業料・奨学金/Benesseマナビジョン 学費・奨学金/スタディサプリ進路)
立地とキャンパス。福山駅から南東約1.8km、港町キャンパスの実際
キャンパスは広島県福山市港町にあり、JR福山駅から南東へ約1.8kmの位置です。福山駅からほぼ直線で到達でき、方向としてはわかりやすい立地です。バスは福山市立大学前の停留所まで敷地内に入ってきますが、本数が少なく利便性が高いとは言いにくいのが実情です。多くの学生は駅から自転車で15分ほどをかけて通うか、大学近くに一人暮らしをして徒歩・自転車で通学しています。
口コミでは、施設が新しく綺麗である点、アクセス評価が公立大学内でも比較的上位である点が評価される一方、駅から少し距離があること、学食の座席が狭いこと、サークル数や学園祭の規模が大規模私立に比べると控えめであることが指摘されています。福山駅から大学までの経路の一部に、夜間営業の店が並ぶ区画があるという声もあります。総じて、派手さより堅実さのキャンパスと理解しておくと実像に近いです。
大学祭は港輝祭として例年秋に開催され、オープンキャンパスも夏に実施されています。実際に足を運んで通学路と設備を自分の目で見ておくことを、私は強くすすめます。
(出典:みんなの大学情報 福山市立大学 口コミ/福山市立大学 公式/広島県 大学情報ポータルサイト)
福山市立大学が向く人・合わない人
ここまでのデータを、進路判断に落とし込みます。
向いている人
- 小学校教諭・特別支援・保育士など、教育や保育の資格を確実に取って現場に出たい人
- まちづくり・地域政策・都市経営に関心があり、文理を横断して学びたい人
- 広島県東部・岡山県西部を中心に、地元で公務員や地場企業に就職したい人
- 私立より学費を抑えたい人、特に福山市内在住で入学料の優遇を受けられる人
- 大規模大学の華やかさより、少人数で実習中心に鍛えられる環境を選びたい人
合わない人
- 全国区の知名度や難関大学のブランドを最優先したい人
- 幅広い学部・多数のサークルがある総合大学の環境を求める人
- 研究者を志し、大規模で層の厚い大学院での研究を前提にしている人(学部は充実だが大学院は小規模)
- 都市部の大企業本社への就職を主目的にしている人(進路は地元志向が中心)
偏差値の数字より、この向き不向きが噛み合うかどうかで満足度は決まります。
まとめ。福山市立大学はFランか
結論を繰り返します。福山市立大学はFランではありません。根拠は主観ではなく一次データです。
- 河合塾偏差値45.0〜47.5、共通テスト得点率55〜67%を課す公立大学であること
- 学部の収容定員充足率が107.7%で、定員を超えて学生が集まっていること(定員割れの逆)
- 一般前期で2〜3倍台、後期は最大17.0倍と、選抜が明確に機能していること
- 就職率が公式ベースで99.6%、教員・保育・地元公務員と地場企業に堅実に送り出していること
ネット上の「やばい・恥ずかしい・Fラン」の多くは、私立の福山大学との混同や、開学2011年という歴史の浅さからくる知名度の低さが原因で、実力を反映していません。難関ではないが易しくもない、地方公立の中堅として堅実な大学というのが、データに基づいた中立の評価です。持ち上げも貶めもせず、この一次データをあなた自身の志望動機と照らし合わせて判断してください。
(本記事はFラン大学.comによる独自の中立判定です。偏差値出典=河合塾Kei-Net、充足率・就職出典=福山市立大学 公式公表資料)
よくある質問
福山市立大学はFランですか?
Fランではありません。河合塾偏差値は45.0〜47.5で、共通テスト得点率55〜67%を課す公立大学です。学部の収容定員充足率は107.7%と定員を超えて埋まっており、定員割れが続く私立Fラン群とは方向が真逆です。難関ではありませんが、易しくもない地方公立の中堅校というのが一次データに基づく評価です。
福山大学と福山市立大学は同じですか?
別の大学です。福山市立大学は福山市が設置する公立大学で、教育学部と都市経営学部の2学部、偏差値45前後です。福山大学は私立の総合大学で、5学部14学科、偏差値帯は35.0〜40.0です。名前が似ているため、私立の福山大学に向けられた「恥ずかしい・Fラン」といった評価が、公立の福山市立大学にまで混同して貼られているのが実態です。
福山市立大学の就職は良いですか?
堅調です。大学公式が公表する2025年度の就職率は全体で99.6%(就職希望者ベース)です。教育学部は小学校教諭や保育士など資格を活かした採用が多く、都市経営学部は金融・建設・製造・公務など幅広い業種に分散しています。福山市役所、中国銀行、常石造船、各地の教育委員会などが主な就職先です。地元志向の進路に強い大学です。
偏差値が45前後の学科でも大丈夫ですか?
特に教育学部のような資格系は、偏差値の数字より出口で評価すべきです。実際、教育コースは卒業生の多くが小学校・特別支援学校の教諭に、保育コースは保育所保育士や認定こども園の保育教諭になっています。取りたい資格と就きたい職業が明確なら、偏差値帯だけで判断する必要はありません。
大学院の充足率が低いのは問題ですか?
学部志望なら気にする必要はほぼありません。大学院(修士課程)の充足率は37.5%と低いですが、これは地方公立大学の大学院に広く共通する現象で、学部の人気とは切り離して見るべき数字です。学部の充足率は107.7%と高く、こちらが受験生に直接関わる指標です。研究者を志し大学院進学まで見据える場合のみ、規模の小ささを踏まえて検討してください。
学費はいくらですか?
授業料は年額535,800円です。入学料は市外の者が423,000円、福山市内の者が253,800円で、市内在住者は大きく優遇されます。初年度納付金の目安は市内約78.9万円、市外約95.8万円です。加えて福山市奨学資金(月4万円・無利子)や成績優秀者の入学料免除などの制度があり、私立と比べて費用負担は軽い公立大学です。